17話 ページ19
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シャワーを浴び幾分かスッキリした気がする
鏡に映っている自分の細い身体お腹のとこには切り開かれたような傷が大きく斜めに真っ直ぐ残っている
今では触ってもなんの痛みも感じない
今では何の実験でついた跡かはわからないが
きっと内蔵や何かを見るためわざと痛い方法で行ったのであろう
ふわふわしたタオルで体を拭いて
先程の服を着る
時計の読み方は正直いまいち分からないけれど
短い針が8に限りなく近づいてる時間なのはわかった
『ご飯……どんなのだろ』
研究所でのご飯しか食べた覚えしかない私
色んな味のするパックに入ったゼリー状のものばかりだった研究所、確か効率よく?食べれるからだとか、
確かにお腹には溜まった不思議な食べ物だった
固いものはあまり出なかったから噛む力に自信はないのだが夕食で固いものが出たらどうしようかと考える
いや、もしかしたら研究所だけでなくあのご飯ゼリーが世界の主流なのかもしれない、私はあまりにも外を知らなすぎるのだそうなのかもしれないな、と思う
『美味しいゼリーだと嬉しいな』
さっきとは違いなんだか楽しくなってきた
ベッドの上に座り足をぷらぷら揺らす
苦いゼリーの日もあったから好き嫌いは良くないけど
やっぱり苦手なものは苦手だったし
美味しいご飯ゼリーを想像すればお腹が空いてきた
ぽふっとベッドに寝転がり
目を瞑る
眠る気はなったけれどだんだん意識が薄れて
頭がふわふわしだす
『…苦しいことされなきゃいいな、』
薄く残る研究所の記憶と重ねる
私に対して怖い感情を向ける人もいたし
夕食と称して何かされるかもしれない
グルッペン達はいい人だけど
やっぱり怖い
なにか考える度痛くないはずの傷がじくじく疼いて
心臓が不快な痛みに襲われる
我慢は得意、我慢だけで生きてきた
私はまた眠りについてしまった
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