無知な少女は愛を知る【魔法パロ】 (ページ3)

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1話ページ3

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とある研究施設＿

1面真っ白な部屋
白いベッドのみの部屋
左右はガラス張りで隣の部屋の人が見える
目の前には外から鍵がかかって開かないドア
ここは準備部屋今日実験を受ける子供たちが待機するだけの部屋

｢A、A｣

『どうしたの兄さん』

私の横の部屋にいる兄さんが話しかけてきたのだ
茶色い髪に目が悪いそうで眼鏡をかけていて瞳は綺麗なアメジストのような紫
本当のお兄ちゃんじゃないけどたまにこうして部屋が近くになることがある彼を私は兄さんと呼んだ
研究所の人は私を5508番と呼ぶ
名前なんてないけれど微かにある薄れきった記憶で
私はAと呼ばれていたことを覚えていた、それだけを覚えていたのだ

『バレたら怒られちゃうよ』

｢大丈夫まだ来ない｣

『で、どうしたの？』

｢逃げろA｣

『へ、』

真剣な目で私をガラス越しに見る兄さんはとんでもないことを口走る

『そんなの…むりだよ』

｢大丈夫俺の力を最大限に使って今からお前を外に出すそしたら逃げろ全力で逃げるんだ｣

『意味わかんないよ…なんで私』

｢お前は特別だ｣

『私はなにもないよ』

ここは研究所、そうとしか教えて貰えなかった
魔力が使いこなせない子供が沢山いるらしい
兄さんもその1人でここの誰よりもずば抜けて魔力が強かった
でも兄さんは魔力も使いこなせたなのに何故ここにいるかは私にはまだわからなかった

そして私は魔力のない子

この世界では唯一の存在だと言われた

そんな私を治すために、と伝えられて何十年も前から
ここに連れてこられた

昔の記憶は何故か曖昧

被検体には特に何も教えて貰えない
ホントのことを伝えられてるかすら分からないのだ

｢俺が断言するAはここに居るべきじゃない｣

『い、いやだよ兄さん』

｢今日しかないんだ俺の分まで外で生きて欲しいAは大事な妹なんだから｣

『兄さん……』

ガラス越しに手を合わせる私たち
ほんとの兄妹なんかじゃないけれど
ホントの兄妹のような強い絆がある私達

｢きっと幸せになれる俺が保証する｣

『私兄さんがいないとだめだよ』

｢A頼む、俺の願いなんだ逃げてくれ｣

ガラスに額を当て俯く兄さん

『……また、会えるの、かな』

｢あぁきっと会えるきっとだ俺が約束する｣

『うん』

｢失敗は出来ない1発本番だまっすぐ逃げるんだ色んな街をまわれ、きっとお前を助けてくれる人が現れる｣

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