【呪術廻戦】禍福得喪な人生ですが (ページ39)

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知らない電話番号。

今日は雨だった。雨は好きでも嫌いでもなかった。

でも今は。

「…はい、もしもし」

「……初めまして。伊地知と申します。

実は────────」

告げられた内容に、五条さんの言葉も守らず、嫌いな運動も気にせずに走った。

雨が、嫌いになりそうだった。

・

「伏黒さん！」

学校のような、そんな場所。名前はどうでもいい。雨に濡れてもいい。でも、死ぬのは許されないと思っていた。

「鈴鹿さん……虎杖が…」

伏黒さんは突っ立っていた。悠仁君は、倒れていた。血が、溜まっていた。溜まっていた血は、雨によって薄まってきていた。

私と一緒に来た、呪術界の人らしき方達は、無表情だった。

私は。

その現実を受け入れようとしていなかった。

「虎杖は、俺達に長生きしろよって…」

死体を見るだけでも吐きそうだった。でも吐くに吐けなかった。

血の匂いと雨の匂いが大層臭かった。でも鼻をつまむことは出来なかった。

大泣きしてやりたかった。でも泣くに泣けなかった。

何故なら、私は今日、呑気に3人の帰りを待っているばかりで、救う事が出来なかったからだ。

どうかこれが嘘であってくれと祈っている自分は、無力だった。

・

って事があったのに。あったのに…。

あったのに！

「なっ、なっ、なんで！？」

「ちょっと早めにサプラーイズ！」

「ただいまAさん！」

拝啓、全私へ。

本当に気をつけてください。

呪術界、人生き返りますから。