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・
数秒の沈黙。
「マジ??」
「マジ」
五条さんの質問に伏黒さんと男の子が同時に答える。どうやら、結構やばい状況らしい。
近づいて確認する五条さんを横目に、ちらっと伏黒さんを見た。すると、そちらも私の方を見ていたのか、ぱっちり目が合う。そして、バツが悪そうに目を背けられる。
「(そりゃそうか。殺そうとした相手と、殺されそうになった相手。実際、私も伏黒さんが怖い)」
もうあんなことが無いようにと願う。目の前では、話が進んでいた。
「じゃあ10秒だ。10秒経ったら戻っておいで」
「でも…」
「大丈夫、僕最強だから」
かつて、最強だからと聞いて、ここまで安心したことがあっただろうか。少なくとも、私は最強だからと自称する人に会ったことがない。
伏黒さんに喜久福の袋を投げ渡し、持っててと伝える五条さん。自分が死にかけてる時に…と言うような顔をする伏黒さん。
「土産じゃない。僕が帰りの新幹線で食べるんだ」
「っ後ろ!」
伏黒さんの叫ぶ声に、私も目の前の光景に目を見張った。危ない、と感情だけが出て、声は出なかった。それくらい、男の子からの攻撃が速かった。
しかし、それよりも速く、五条さんは攻撃を避ける。
「(なんで対立してるの!?戻っておいでとか話してたし、何か憑依してるとか…?)」
「生徒の前なんでね、格好つけさせて貰うよ」
・
そこから10秒。圧巻だった。
双方速く、強いんだろう。でも五条さんが格別だってことは一目瞭然。だって男の子の方が1回も攻撃出来ていなかったから。
すごい、の一言。単純にそれしか出ない。
10秒経ち、憑依…?しているものが剥がれたのか、素朴な顔に戻る男の子。
その子のおでこに触り、気絶させて、五条さんと伏黒さんが会話を始める。
正直、あまり話している内容は理解出来なかったけど、分かったことは1つ。
伏黒さんが、「私情で死なせたくない」と言った男の子の安否が、五条さんの頑張りで決まるということ。
その後、何も無かったかのように後片付けを始める二人を見て、ただただ思うことは。
「(私、変な界隈に来ちゃったなぁ)」
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作成日時:2021年1月23日 2時