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「どう?呪霊は上手く出せた?」
「……あ…えっと、その…」
衝撃で話せそうになかった。
怖いと思った。自分も、他人も。
「……恵」
「すみません。俺の判断不足です。でもこの人が呪詛師にならない可能性だって無くはないじゃないですか」
「彼女は自分を殺そうとしてきた人間に優しく出来るほど、イカれてないんだよ。でもいずれ、イカれてもらわないと困るけどね」
先程の伏黒さんの表情を思い浮かべては、心は底へと深く沈む。
呪霊の殺気は、蛇に睨まれた蛙のようなものだった。だから、それを人外として受け入れることが出来たし、怖くとも向き合おうと思えた。
でも、同じ生き物から発せられるその殺気は、胸が押し潰されそうになる。
「…すみません。大丈夫です。呪霊は出せました」
「そう?なら良いじゃーん!」
「……ありがとうございます」
私の返事を聞いた五条さんは、伏黒さんに、「もういいよ」と伝える。
伏黒さんも、その言葉通りに、ここを立ち去って行った。
「ごめんね〜。恵もわざとじゃないからさ。ほぼ反射的なもんだったんだよ」
「そう、ですか」
「気に病むことはない。なんなら、呪霊を増やせと言ったのは僕だしね」
「いえ、何とも思っていません。それより、本題は何でしょうか」
早く無機質な業務連絡に入りたくて、急かす。
それを悟って貰えたのか、話し始める五条さん。
「上のいやーな連中から、早く君の実力を証明しろって騒がれた。中途半端な時に悪いけど、僕と一緒に来てもらおっかな」
「どこに、ですか?」
「そんなの決まってるでしょ、呪霊の所にだよ」
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作成日時:2021年1月23日 2時