思いやり ページ10
既に日は沈み､真っ暗な夜道
街灯1つない田舎道だと､足元は月明かりに頼るしかない
Aが転ばないように傑はしっかりと手を繋いで歩く
そんなAは寝起きの目を擦っている
花火を見せてやりたかった
傑は何処か不甲斐ないという気持ちでため息をついた
「あら…？紅莇さんとこのAちゃん！こんな時間にどうしたんだい？」
70代くらいだろうか
ふくよかな体つきの女性が驚いたように畑から現れた
「おや､あんたらは…見ない顔だねぇ」
「私達は東京から来た者で…今帰るところだったんです」
Aは大きな欠伸をしながら女性にチラリと目をやる
「…こんな時間までどこに行ってたんだい？」
不信感を抱いたように女性は問いかけた
…まぁ見かけない男2人が幼女を連れ回してたらそう思うのは当然だ
「花火を探しに…でも季節的に何処も置いてなくて」
「花火？そりゃあ見つからないだろうねぇ」
女性は当然だと言わんばかりに笑い飛ばす
傑もそればかりは同感だった
「…花火､ねぇ …あ､ちょいと待っててなさい！」
そう言ってパタパタと向かいの敷地に走って行った
呆気に取られたように立ち尽くす
女性が出てくると､手には大きなビニールの封
「これ！去年のだけど…庭の物置に置いてたやつだから湿気てるかもしれないけどね」
そのビニールに印刷された文字に悟は喜びで叫びそうになる
「花火…！」
「こ､これ頂いてもいいんですか？！」
そう言った傑に､女性はグイッと花火の入った袋を押し付ける
「そうでなきゃ持ってこないよ！」
カッカッカッと笑う女性が､今の2人には女神に見えた
「ありがとうございます！」
傑は深く頭を下げた
帰ってきた3人
…勿論老人にはこっぴどく叱られた
Aは特にお咎めなし
小さな子供を無断で連れ回した2人は和室で正座させられ小一時間は説教だった
「くそっ…まだ足痛ぇ…」
「こればっかりは私達が悪いよ」
庭先で3人は花火の準備をしていた
落ちていたバケツに水を貯め､仏壇からはマッチとロウソクを持ってきた
老人は夕食の皿を洗っているため不在
老婆はいつも通りニコニコと笑顔を崩さず縁側に座ってAを眺めていた
「危ないから触っちゃダメだよ」
「うん」
Aの肩には猫の姿をした呪霊がいた
猫も興味深々といった様子
Aは嬉々として花火の袋を抱えながら火のついたロウソクを見つめていた
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セイ - いやーそう思えて頂いて良かったです もう少しで過去編が終わって一時休載になりますね…またアニメ2期が始まると同時に再開する予定ですので､ぜひぜひロビンさんには楽しみにして下されば幸いです (2021年5月17日 23時) (
レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - なんかもう色々しんどい、、！！最後泣いてたのってごじょせん達との思い出が消えたって考察でいいですかね？！しかもミィちゃん、、！！(TT)つらすぎふ、、、 (2021年5月17日 21時) (レス) id: 5a02811cab (このIDを非表示/違反報告)
セイ - いつもありがとうございます！伏線…どうでしょうかねぇ？ (2021年4月26日 0時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - 更新おめでしゅ！！今日最初から読み直しました笑最初の方に祖父の件がチラッと出てビックリしました！最初からこの話の伏線を、、、？ (2021年4月25日 1時) (レス) id: 5a02811cab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セイ | 作成日時：2021年4月24日 2時
