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約束 ページ21

3人の去っていく後ろ姿を、老人は姿が見えなくなるまでずっと見つめていた

やっと見えなくなったかと思うと、老人は寂しげに家へと戻って行った


「…あの婆さん 結局なんだったんだ?呪霊…ではなさそうだったし」

悟は首を捻った

今までに見たことのないような生き物だった

「多分呪霊に近しいものだと思うよ 何より、呪霊の見える私達や、Aちゃんが見えていたし…」

一歩後ろを歩く硝子は、特に関心はなく煙草をふかしている

「あの土地に染み付いた"意識"が呪いになった、ってところだろうね 元々この土地も何か曰く付きみたいだし…」

チラリと古びたバス停に目を向ける

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ…」

ドロリとアイスのように溶けた呪霊がベンチに座っている

「…確かに、ここら辺 結構呪霊見かけたしね」

ふぅー…と煙草の煙を吐きながら、硝子は辺りを見回す

「意識が土地にしがみつきやすくなってるのかも」

「ふーん…」

悟はふと後ろを振り返った

老人の家の明かりは変わらず付いている

走馬灯のように3日間の記憶が蘇る

…楽しかった

この3日間、術師ということを忘れてしまう程に…

「…あの呪符も、いつか効果が切れる時が来るだろうけど」

「ま、呪霊を祓わねー限り根本的解決にはならないだろうねぇ」

猫に付けた呪符も、その場しのぎ程度だ

将来的に暴走するのは目に見えている

「そん時はそん時だ 効果が切れたら また会って渡しに行きゃいいだろ」

恰も当然といった様子で悟は言った

その言葉に傑も同調する

「だね まぁそれなりに値の張る物だから…ザッと10年位は持つんじゃないかな」

「ゲー んなの俺おっさんだろーが」

「20代なんてまだまだピチピチじゃん」

そんな会話をしながらも、麻倉の乗る車が見えてきた

待ちぼうけを食らって運転席で眠っている

「…10年後、また2人でAちゃんに会いに行こう」

「応、当然だろ」

そう言って2人は目を見合わせて笑った





翌日の朝

「紅莇さーん 回覧板ー!…おかしいわねぇ留守かしら…」

インターホンが壊れていることを知っている女性は、大声で老人の名を呼ぶ

幾つか田んぼを挟んだご近所さんだ

先日A達に花火を譲ってくれたのもこの女性だ

「…入りますよー!」

庭に回って襖の開け放たれた縁側を見つめる

その縁側には、腰の曲がった老婆が座っていた…が、女性の目に映ることはなく 女性は家の中を覗き込んだ

最終話:明日へ→←澄んだ呪い



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設定タグ:呪術廻戦 , 呪術 ,   
作品ジャンル:アニメ
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セイ - いやーそう思えて頂いて良かったです もう少しで過去編が終わって一時休載になりますね…またアニメ2期が始まると同時に再開する予定ですので、ぜひぜひロビンさんには楽しみにして下されば幸いです (2021年5月17日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - なんかもう色々しんどい、、!!最後泣いてたのってごじょせん達との思い出が消えたって考察でいいですかね?!しかもミィちゃん、、!!(TT)つらすぎふ、、、 (2021年5月17日 21時) (レス) id: 5a02811cab (このIDを非表示/違反報告)
セイ - いつもありがとうございます!伏線…どうでしょうかねぇ? (2021年4月26日 0時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - 更新おめでしゅ!!今日最初から読み直しました笑最初の方に祖父の件がチラッと出てビックリしました!最初からこの話の伏線を、、、? (2021年4月25日 1時) (レス) id: 5a02811cab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セイ | 作成日時:2021年4月24日 2時

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