呪術廻戦〜貳爪探し〜其ノ二

特別な普通 ページ45

私は自動設定されているスマホのアラームで目が覚めた

『いってて…』

ベッドにもたれ掛かり､座った状態で眠っていたせいで腰は痛い

虚ろな目で周辺を見回す

『うわっ？！』

右の真横に由梨が座っていた

けれど既に人の形ではなく､呪霊そのものといった風の容貌に変わり果てていた

一晩でこんな変化…どういう原理なんだろう

確か…昨日の夜そのまま寝落ちしてしまったような…

でも良かった 由梨が外に出なくて…

『…え？』

よく見れば､由梨の右半身は酷く抉られていた

…というよりも､綺麗に切断されたものが段々と崩れていったような…

滴る血は､床にジワリと溶け込むようにしては消えていく

『ゆ､由梨…大丈夫？』

ムクリと顔を上げた由梨は､私の頭を不気味な腕で抱きしめてくる

「あァ…A…オおおはヨぉぉぉ"ぉ"…」

『あ､おはよう…じゃなくてっ！酷い怪我…』

なんで…放置してたから…？

まさか夜中､外に出たとか？！

うぅ…頭痛い そうなら誰にも見られてないならいいけど…

『…それにヘアバンドもなくなってる…外に落としてきたの？』

「へあばんド…？？」

そう呟いて由梨は首を傾げる

『ああそっか 分かんないよね…ごめん由梨 戻って』

「…ウん」

由梨はどこか不服そうに私を抱き締めたまま､溶け込むように消えていった

友達を周りから隠して過ごさせるのは不本意だけど…これも由梨を守るためだ

…背に腹はかえられないな




数日後の昼下がり

「そこでLスティックを右に動かしたままAボタン連打！」

『こ､こう？』

私は2年先輩を含めた高専の学生達と､談話室のテレビを使ってゲームをしていた

交流会も終わり､私達は数日の休暇を存分に味わう

慣れないゲームに難しい操作…けれど､野薔薇の真摯なアドバイスのおかげで それなりに楽しんでいた

「そうそう！そしたら相手は着地できないから…」

「ねーそっちに釘崎いるのズルくない？！」

「おかか…」

「こんなんパンダにしたら負け戦だな」

数秒後

パンダ先輩はあっさりゲームセット

不貞腐れて狗巻先輩にダル絡みしていた

「あー…お楽しみのところ すいませんッス そろそろ任務の時間で…」

談話室に､短い金髪にスーツの女性が現れた

「あれ､もうそんな時間？」

「えーもう？！たまの休みくらい楽しませてよね…」

「術師に休みなんてねぇよ」

そう言って私を除いた1年勢3人が一斉に立ち上がった

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