呪術廻戦〜貳爪探し〜其ノ二

有象無象 ページ13

『ギュッと…ホワホワ…』

通り過ぎる人々が怪訝な顔をして私を見ていく

こんな時間に､しかもおかしなことを呟いて突っ立ってるんだから

…何となくコツは掴んだ､と思いたい

それなりに…周りに術師が大勢いることは分かったのだから

一般人と比べて呪力量や質が桁違い

恐らく狗巻先輩の捜索に当たってる人達だろう

高専の制服を着てるので､向こうも此方を把握しているはず

唯…狗巻先輩の呪力の痕跡が全く見当たらない

もう1日近く経ってる訳だし…消えてしまってるのかも

困ったな…

「…ぇ ねぇ君聞いてる？！」

『え？！は…はい！』

その時になって､私が数人の男性に声を掛けられていることに気がついた

全員五条先生程じゃないけど背も高いしガタイもいい

「変わった制服だねぇ 高校生？」

「ダメじゃん こんな時間に彷徨いちゃ…」

あー…どうやって説明しよう

馬鹿素直に伝えたところで変な奴と思われるのがオチだ

「ねぇってば…あれ？君もしかして家出とか？」

『いやッ？！ちゃんと連れもいますよ！』

目の前に立っている男達に違和感を覚える

何処か私を嘲笑うかのような表情に､気味の悪さを感じた

「…連れって？いないじゃん」

「嘘は良くないなー」

集団のうちの1人が私の肩に腕を回した

やっと察しのついた私は途轍もなく腹が立つ

『…何ですか､私未成年ですよ？』

「だからだよ」

そう言って下卑た笑みを零しながら 私の肩を抱いたまま歩き出そうとする

『ちょっと…！』


「あっれぇー？君ら僕の生徒に何してんの？」

…やっと来た

『…遅いですよ』

ツカツカと此方にゆっくりと歩いてきた五条先生

男達との体格差は凄まじく､そいつ等がチビに見えてしまう

「ごめんごめん 君がどうやって対処するか気になっちゃって」

そう言って笑う五条先生に､私は深く溜息をついた

「…んだよ」

「おい…もう行こうぜ」

突然の高身長ガイが現れて気分が萎えたのか､サッサと退散していく男達

なんだ､呆気ない

「学生相手に複数人ってねぇ…」

「だ､大丈夫でしたかAさん！」

後から走ってきた伊津実さんは肩で息を切らしている

「Aもさぁ あんな輩ペッて蹴散らせるようになりなよ」

『…非術師に手出したら謹慎処分ですよ？』

「そんなの揉み消しゃいいよ！」

…この人なら本気でやりかねない

「Aさん…そろそろ休憩にしましょう ずっとそんか調子じゃガタが来ちゃいます…」

伊津実さんが不安げに そう提案してきた

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