愛屋及烏 ＃02【呪術廻戦】

51話 : よろしく ページ1

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｢もう、いいぞ｣






と男が言うと、Aは領域を閉じる。


山がもとの姿に戻ると、

男は少し考えるような素振りを見せる。






｢……お前、五条悟と暮らしてるんだろ？｣






と男の問いにAは頷く。

その動作に男は満足そうに笑い、






｢よし、なら呪術についてはそこを頼れ

それ以外に必要なものは俺が教えてやる｣






と言う。



Aは急な展開に、

掴んでいた裾を引っ張り、男に説明を求める。



が、男はニヤリと笑い、






｢色々聞きたいことはあるだろうが、それは今度会った時に教えてやる

今日はもう帰るぞ｣






と長らく放置していた刀を拾い上げ、

慣れた手つきで口から呪霊を出す。



Aはその行動に固まる。






｢ははっ、お前がそんな表情豊かだと面白いな

これについても今度教えてやる｣






と刀を呪霊に収納し、また呪霊を体内に戻す。






｢おしっ、帰るぞ｣






と男は、全身の筋肉を伸ばし始める。



が、Aは

その男の掴んだままの裾をもう一度引っ張り、






｢……名前…、｣

｢あ？｣

｢…名前、教えて……｣






と男はそこで漸く、自身が名乗っていないことに気づく。

あー、と頭を掻きながら、






｢禪院 甚爾だ｣






と答えると、また体を伸ばし始めた。

そして、十分伸ばし終えたのかAの方を向く。






｢まぁ、長い付き合いになると思うが……、よろしくな｣

｢……こちらこそ、よろしく、…甚爾｣

｢呼び捨てかよ｣






と禪院が言うと、

Aはほんの少しだけ嫌そうな顔をして、






｢……よろしくお願いします、禪院サン…｣


｢ははっ、ほんとお前は(・)表情豊かでわかりやすいよな

ははっ、冗談だ、好きに呼べよ｣






と笑う。



表情豊か、と言えるほど豊かでは無い上、

標準から考えれば、表情は読みにくい方に分類されるはずだが……

禪院はそれを分かりやすい、表情豊かだと言った。



Aは自分はわかりやすいのか、なんて考えていると、

身体に浮遊感を覚える。






｢……え、｣

｢時間が惜しいからな、暴れるなよ｣






とAを横抱きにして、走り出す。



と言うよりは、

家の屋根やマンションの屋上など

恐らく普通の人は通らないような場所を飛んで、渡っている。



そんな場所を通りながらAは、

何故か懐かしい腕の中で禪院を見つめていた。











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