愛屋及烏 【呪術廻戦】

47話 : 秘密 ページ47

.










｢……なるほど、記憶が無いなら色々納得だな…｣






と溜息をつく。






｢…色々って…？｣

｢最初、お前ベッドの下に隠れてただろ？｣






と男の問いにAは頷く。






｢なんで俺は気づけたと思う？｣






と男が挑発的な笑みを浮かべる。



Aはその顔には特に反応を示さず、考える。

が、シーツと布団は整え、人が居た跡は消したはずだ。



分からないという結論に至り、顔を上げる。






｢温度だ｣


｢…温度…？｣


｢シーツや布団には僅かに体温が残ってたんだよ



残り方からして数秒前までは居たと俺は確信した

なら、数秒で隠れれる場所に隠れてるってことだ



俺が知ってるお前なら、そんなミスはしない｣






と勝ち誇った様な笑みを浮かべる。

Aはまたその顔には反応せず、納得した表情を見せる。







｢あー、あと…

…記憶がどーのこーのの話だが…｣






とバツが悪そうに頭を掻きながら、言葉を続ける。






｢今は、気にしなくていい｣


｢……今は…？｣


｢ああ、

今はあいつも封印とか他の呪霊に取り込まれたりとかで、いないも同然だからな｣


｢……あいつって…、誰のこと………？｣


｢まだ、知らなくていい

苗字のことも忘れろ｣


｢……｣






とその言葉には不満そうな顔を浮かべるA。

その顔に男は、ははっ、と笑って、






｢お前、そんな顔もできるんだな｣






と微笑む。



Aは、五条たちにはない大人の雰囲気に、

思わず目を逸らしてしまう。






｢まぁ、忘れるってのは無理かもしれないが…



…俺以外の人間にそれは口外するな、絶対に

特に五条 悟にはな｣


｢……悟を、知ってるの？｣


｢まぁな、｣






と先程の笑みとは打って変わって、嫌そうに舌打ちをする。






｢……わかった、口外しない…｣


｢なら、いい

あ、そろそろ帰らねぇと五条 悟 の帰宅に間に合わねぇぞ｣






確かに五条たちが出ていってから、だいぶ立っている。

Aは立ち上がろうとするが、






｢……なんで、悟たちの帰る時間、知ってるの…？｣


｢あ？俺がそうするように上層部に言ったからだ

お前の暗殺を引き受ける代わりにな｣


｢……私を、殺すの？｣


｢お前を殺すつもりなら、今刺してるよ

安心しろ、俺はお前を殺さない｣






と頭を撫でる。



そして、小さく、






｢……今度は絶対、お前の力になるよ…｣







と呟いた。











.

48話 : 呪術→←46話 : 苗字

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す