愛屋及烏 【呪術廻戦】

29話 : 本当？ ページ29

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Aは手を止め、首を傾ける。

なんの事？と言っている様子だ。



五条は、そんな態度が気に入らないのか少し睨みを利かせて、






｢お前、怖い夢と見たから泣いたって言っただろ？｣






Aは頷く。






｢……仮にそれが本当なら俺が最初に部屋に入った時に泣いてるはずだろ？

でも、お前が泣いたのは部屋を出たあとだ｣






Aは何も言わない。

五条は、そんな様子のAに溜息をつき、






｢まぁ、時間差で泣くこともあるからこれは理由にならないかもしれないが……



…でも、あれは嘘だろ？｣






Aは五条を見る。

互いに互いを見つめ合う。






｢……同じ目を持ってるからかはわかんねぇけど、

シンパシーってやつ？



根拠はない……、でも嘘だと感じた｣






五条はAの言葉を待つ。

別にあの話が嘘でも本当でも五条にはなんの関係もないのに。

気になるのだ、Aのことならなんでも。






｢……うん、怖い夢は嘘……｣






と気まずそうに話す。






｢……じゃあ、なんで泣いてた訳？｣

｢…わからない｣






と哀しげな瞳で呟く。



五条は気まづさからか、頭を搔いて質問を変える。






｢…じゃあ、なんで嘘ついた？

あのまま無言貫いてたって、別に良かっただろ？｣

｢……悟が悪くないのに、怒られるのは、違う、と思った、から…？｣

｢……なんで疑問形なんだよ…｣






なんて話しているが、

五条の心の中は、Aが自分を気にしてくれているという事実に喜んでいた。






｢まぁ、いいや



……あ、今日ジャンプの発売日じゃん

俺、ちょっと出かけてくるから｣






とそそくさとリビングを後にする、五条。

顔が少しだけにやけているように見えたのは、見間違えだろう。











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