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お墓参り ページ46

七海side

1人寺に残された私は、大きな溜息を出した。




高専時代の頃から五条さんには敵わない。




五条(後で迎えに行くから、それ迄に告白しとけよ)




七海(私の事も考えないで……)




もう一度大きな溜息を出した後、私は墓のある場所に向かう事にした。







墓に着くと、既に花と線香が供えられていた。




それに、供え物を置く場所にはチョコのケーキも供えられていた。




七海(既に来ていたのか…)




私は持っていた紙袋をその場に置き、墓石の前で手を合わせた。




供え物が無いのは申し訳ないですが、せめてこれだけでも……




墓参りを終え、再び紙袋を持った私は寺の階段をゆっくり降りる。




彼女は何処にいる?




そう思いながら、階段を降りていると風とともに潮の香りがした。




目の前を見ると、海が見えた。




ここからだと眺めがいいな……そう思った時だ。




砂浜を歩く黒い格好をした人影が見えた。




遠目からでも分かる……私は階段を急いで降り浜辺に向かった。






〜七海が来る数十分前〜

花を買った後、小さい頃…私と桜が大好きだったチョコレートをたっぷり使ったケーキを買いお墓に向かう。




「今年も来ましたよ。お姉ちゃん」




花と線香を供えた後、私は買ってきたチョコケーキを供えた。




その後箱からもう1つ同じケーキを出し手に持ちながら呟いた。




「ここのケーキ、昔と変わらず美味しいんだよね」





そう言いケーキを口にする。




口いっぱいにチョコの甘さが広がってとても美味しい。




……さて、お墓でする事はしたから海見に行こ。





「海に行ってくるね」




とだけ言い、ケーキの箱を持ち墓を後にした。




寺を後にし、手を洗い…ケーキの箱をゴミ箱に捨てて何も考えずに海に向かう。







ザー…ザー…


浜辺に着くと波の音と彼女が私を迎えてくれる。




桜『今年も来てくれてありがとう』





「毎年行くに決まってるよ。……まぁ、今年はちょっとアレだけど」




桜『Aの先生、いい人だね!』





「うん、それにクラスの皆もいい人なんだよ」




私は顔の見えない桜に今までの話を沢山した。




桜『弱虫で泣き虫だったのに、A……強くなったね』




「そ、そうかな?」




桜『うん』




桜はゆっくり私に近寄りそっと手を握りながらそう言うと、迎えが来たよ…と私に言う。





後ろを振り向くと、底にはゆっくりと砂浜を歩いて来る七海さんがいた。

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作者名: | 作成日時:2021年1月31日 17時

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