ご褒美 ページ33
補助監督が待つ車に乗ろうとした時だ。
七海「私が卯月さんを送り届けますので、君は先に戻って下さい」
補監「？わかりました」
お疲れ様でした…っと言うと、補助監督の人は運転席に乗り込み車を発進させて帰ってった。
七海さんはまだしも、私どうしたらいいの？
七海「行きますよ」
「何処にですか？」
七海「着いて来たら分かります」
七海さんも車が戻ってた方向に歩き出した。
私も七海さんの後ろについて行くことにした。
･
七海「着きましたよ」
足を止め、着いた1件のお店を見て驚いた。
「え？……ここって」
そう、ここは行く時私が“美味しそ”ってボソッと呟いたお店だった。
てか、途中まで送って貰えば良かったのでは？
「七海さん、どうしてここに？」
七海「任務前に美味しそうと呟いていたでしょう？」
あ、小さな声でも七海さんには聞こえてたんだ。
「聞こえてたんですね」
七海「えぇ、それに私もこの店に1度来てみたかった。
ここの料理が美味しいと聞いた事があるので」
「そうだったんですね。でも、ここ結構人多いですよ？」
お昼もそうだけど、行列が出来ていたし。
七海「大丈夫です、今の時間帯はそこまで混んでいません。
早く席に案内して貰えます」
……めっちゃこの店に詳しいな。
「でも七海さん、入るのはいいですけど…定時で終わって帰りたいんじゃないんですか？」
そう、今は18時になる所。
時間に縛りをかけてる七海さんにとっては時間外労働になる。
七海「確かに、いつもなら定時で帰れるは嬉しいことです。
ですが……」
七海さんは私の方をじっと見てこう言った。
七海「卯月さんの頑張りもありましたから呪霊も早く討伐出来ました。
それに卯月さん、貴女は成長しましたのでこれはご褒美です」
七海さんの大きな骨張った手が私の頭を撫でる。
七海(1番の理由は、貴女と少しでも長く居たいだけなんですけどね……)
「？七海さん？？」
七海「……失礼、それでは入りましょうか」
「はい！」
私達はお店に入る事にした。
そしたら七海さんの言う通り、全然混んでなく直ぐ席に案内された。
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作者名：渚 | 作成日時：2021年1月31日 17時
