☆災いの内の光 IV ☆ ページ35
.
すごい、彼女の活躍はその一言に尽きた
美しく紺碧の龍を連れた少女は、次々に負傷者を連れてきた
魔障粒子は皮膚からもその身体に入り、汚染をする。それを知ってか、彼女は水の膜の様なもので救助した人を包み込んでいた
数え切れないほどの者が彼女に救われ、そして、それを幾度も繰り返した彼女は一人の幼い少年を腕に抱えて街から連れてきた
ルナは空気が汚染されていない場所に辿り着くと、ゆっくりとそこに座り込んだ
救急隊の者達は気になり、ルナに駆け寄る。彼女の腕の中では少年が今にも、こと切れそうに浅い呼吸をしていた
「大丈夫……大丈夫だよ」
優しく優しく、彼女は言葉をかけながら少年の頭を撫でた
あやすように、宥めるように。そして、少しでも良い眠りにつけるように
ルナの仕草には、そんな心が篭っているように見えた
数分の内に、少年は動かなくなった
「……怖かったね……よく、頑張ったね……」
強く強く、少年を抱き締めるルナの頬には涙が伝っている。それを目にした者達は、静かに目を伏せた
突然、街に大きな音が響いた。雷と爆音がして、親と共に家を飛び出した
逃げる内に繋いでいた手が離れて、人の波に飲まれて。
苦しい、怖い、悲しい、寂しいーー
少年の感情を、ルナは痛い程に感じていた。その記憶と共に
「……街の北西、橋の近くに倒れてた」
「「親は既に救助されています」」
「……そう……」
「親の元に連れていきます」と、救急隊は彼女から少年を預かった
「……街には後、どれくらいの人が残っているの」
「「行方不明者は後、二十名程」」
「……もう一度、探してくるわ」
ルナの言葉に、救急隊員は首を横に振った
「「魔障粒子の濃度が異常値です、いくら君でも危険だ」」
先程の少年の様に、魔力を持たないものであっても魔障粒子は毒となる
いくら、ルナがアンチエーテルナノ領域の影響を受けないにしても、毒の中に潜り込み続けるのはあまりに危険だ
事実、彼女が咳き込めばその口内が血で染った
「「君は早く治療を」」
「街は……どうなるの……」
「「燃やすしか……ないでしょう」」
"燃やす"ーーその言葉に息を飲んだ
この街も死んでしまう。自身の故郷の様に
そう思うと胸が締め付けられた
「……許さない……」
涙を拭った彼女の瞳は、怒りの色に燃えていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 972人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はっち(プロフ) - うわぁぁぁ！ゆっと再会したと思ったら！最後の終わりー！！続編楽しみです！！ (2019年4月9日 15時) (
レス) id: 031bd78554 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - yu;na___さん» こんばんは、初めまして！コメントありがとうございます！！この小説を楽しんでいただけたようで、作者としましてもとても嬉しいですヽ(*^^*)ノこれからの展開もぜひお楽しみください(o^^o) (2019年2月25日 0時) (レス) id: dd63ad0ef7 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - ちょこまみれのましゅまろさん» こんばんは、初めまして！コメントありがとうございますヽ(*^^*)ノそう言っていただけて本当に嬉しいです！これから更に怒涛の展開が待っています！ぜひこれからもご愛読して頂けると嬉しいです(o^^o) (2019年2月25日 0時) (レス) id: dd63ad0ef7 (このIDを非表示/違反報告)
yu;na___(プロフ) - 1からゆっくり読ませていただきました、これが原作なんじゃないかって錯覚してしまうほど作者様の夢主の入れ込み方が上手で、感動しっぱなしでした…グレイとの結婚式楽しみにしています^^*頑張ってください！ (2019年2月17日 17時) (レス) id: 335756cb31 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこまみれのましゅまろ - コメント失礼します。1から順番に読んできました。月狼やアレンが死んだと言うかいなくなって、白龍が目の前から一度消えたときもそうですが、感動しっぱなしで涙が止まらなかったです。これからも頑張ってください！応援してます！！ (2019年2月13日 23時) (レス) id: 850345dca1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ルル | 作成日時：2018年3月9日 20時
