116 ページ45
夢を見た。
それは決して悪夢ではない。
個人的にはとても楽しい夢で、とてもつらく苦しい夢だった。
夢の中で少女は言った。
「その赤い瞳が嫌いだ」と。
なぜ嫌いなのか、その理由を私は知らない。
夢の中の少女は笑った。
「死んで」と。
ゆっくりと口角を上げた少女は、夕焼けに溶け込む様に旅立った。
「はｯ...」
目を覚ました。
頬に温かいものが伝っていくのがわかった。
懐かしい...なぜそう感じるのかはわからない。
何処か、心にぽっかりと穴が空いたような気持ちになった。
?「あ、見つけた！A！」
座り込む私を見つけたのは、たった一人の親友だった。
名前を李と言って、彼女の笑った顔はまるで天使のように可愛らしい。
ri「良かったぁ...探したんだよ?」
「ごめん...ありがとう」
李はハンカチで私の涙を拭ってくれた。
ri「今日は私の家に泊まって行って。絶対だよ！Aに野宿は似合わないから！」
「あ、ありがとうって言っていいのかな?」
ニヒヒと笑った李が頼もしいと感じたのは今日が初めてだ。
そのくらい今日の彼女は堂々としていた。
......
翌朝、李は大学の研究所に朝一番に行くと言って、早めに家を出ていった。
対して私は大学生ではなく、毎日バイトに追われている。
だが、今日はバイトが無い。
なので亡き姉の上司の方と駅前のカフェで待ち合わせをしている。
ri「その人...Aに気があるんかな?イヤや！！私だけのAなのに！！」
「私が何時あんたのものになったんや?!」
昨日、李にこの事を伝えると、足にしがみついてわんわんと泣かれた。
「時間...ちょっと早かったかな」
待ち合わせより十分早く着いてしまった。
キョロキョロと周りを探してみるが、彼の姿は何処にもなかった。
もしかしたら、先にカフェに中に行っているのかもしれない。
「やっぱり...」
gr「ん、Aか。待っていたぞ」
「ケーキを食べたかっただけじゃないんですか?」
彼の名をグルッペン・フューラー。
姉の上司だった私よりも年上の男の人だ。
姉が亡くなってしまった時、彼と、他の部下さんたちに何度もお世話になった。
「それで、話があると呼び出されたのですが...」
gr「まあ、待て。まずは何か菓子でも頼んだらどうだ?マカロンをお勧めするぞ」
きらきらと光らせた瞳で見られると、私は何も言えなくなる。
それをグルッペンは知っているのだ。
「すみません、マカロンとコーヒーをください...」
...
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 516人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葡萄。 - わんぱんさん» 最初から見て頂きありがとうございます!!楽しんでいただけたようで何よりです!(^∀^) (2020年8月17日 12時) (
レス) id: 0d09c9d04a (このIDを非表示/違反報告)
わんぱん - 最初から見てきました！面白かったです！素敵な作品をありがとうございました！(^o^) (2020年8月16日 22時) (レス) id: b542029aeb (このIDを非表示/違反報告)
わんぱん - シリーズ物の途中から読んでることにたった今気づきましたww最初から見てきます！(｀・ω・´) (2020年8月16日 20時) (レス) id: b542029aeb (このIDを非表示/違反報告)
葡萄。 - レモンさん» ありがとうございます!恥ずかしい...。 (2020年5月8日 23時) (レス) id: 0d09c9d04a (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 何回も見たくなります。泣ける (2020年5月7日 16時) (レス) id: a277319c5c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葡萄。 | 作成日時：2020年1月23日 23時
