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「ありがとうございました」
rd「うむ、また困ったことがあったら言えよ」
火事の翌日、私は迷惑をかけまいと早朝にらっだぁの家を後にした。
車の交通量もまだ少ないこの時間帯に、私は全焼してしまった家へ行くことにした。
消防の方から廃棄するものは処分した、と連絡があった。
少し...悲しかった。
家に向かうまでの道中、私は昨晩のらっだぁの言葉について深く考えていた。
『俺って何時から榊さんのこと呼び捨てだっけ?』
全く意味がわからない。
彼は彼で前世の記憶を保持しているはずなのに、いきなり何を言い出すのか。
「忘れた...?」
まさか、ほんの数日の間に何かあったのか。
彼自身に起きたことは話を聞く限りまた面接で落ちたとか、就職活動についてのことばかりだった。
対して私は退学、前世の自分との戦闘、家の火事...
不運なことばかりではないか。
と、すれば原因は再び私にある確率が高いだろう。
「家...燃えた...日記！！」
「ワンワン！！」
日記...絶対、今度も日記が関係してるはずだ。
何時もの曲がり角を、何時もの交差点を、今日はゆっくりと懐かしむように通りすぎた。
ここを曲がったら、私の家がある。
姉との思い出が詰まった家がそこにあったのだ。
家の跡地には見覚えのある小さな背中があった。
パンダパーカー...なかむさんだ。
「何をしているんですか」
na「やっと来た...ちょっと見てみてよ」
なかむさんが指を指したところは跡地の中心。
そこには一冊の黒いノートがおいてあった。
廃棄できるものは処分してもらったはずなのだが...
na「僕が来たときから置いてあったんですよ」
何でなかむさんが私の家を知っているのか。それはまずおいておこう。
「中身を見てもいいんですか...?」
na「俺はどっちでも良いと思うよ。
ノートの中身を見るか、見ないか
その選択肢を選ぶ権利は榊さん...Aさんにしかないよ」
選択肢...
草も生えない土の上に置かれた一冊のノートは真っ黒だった。
漆黒の表紙の上には黒字で日記とかかれている。
誰かの日記。
私は漆黒の日記を拾い上げると、じっと表紙を見つめた。
na「終わりを、この先のエンディングを選ぶ資格はAさんにしかないんだよ」
勇気を出して日記を見るか、見ないか。
そんな詰まらない選択肢だけど、この先の終わりに関わる小さな動作。
私ならどうする?
...
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葡萄。 - わんぱんさん» 最初から見て頂きありがとうございます!!楽しんでいただけたようで何よりです!(^∀^) (2020年8月17日 12時) (
レス) id: 0d09c9d04a (このIDを非表示/違反報告)
わんぱん - 最初から見てきました！面白かったです！素敵な作品をありがとうございました！(^o^) (2020年8月16日 22時) (レス) id: b542029aeb (このIDを非表示/違反報告)
わんぱん - シリーズ物の途中から読んでることにたった今気づきましたww最初から見てきます！(｀・ω・´) (2020年8月16日 20時) (レス) id: b542029aeb (このIDを非表示/違反報告)
葡萄。 - レモンさん» ありがとうございます!恥ずかしい...。 (2020年5月8日 23時) (レス) id: 0d09c9d04a (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 何回も見たくなります。泣ける (2020年5月7日 16時) (レス) id: a277319c5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葡萄。 | 作成日時：2020年1月23日 23時
