【歌い手】どうやら僕が迷い混んだ世界は普通じゃないようで【うらさか】 (ページ4)

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第1回戦ページ4

「コラッ、待ちやがれぇ！」

後ろからコンビニの制服を着てかなり太めの男が脂汗を振り撒きながら懸命に走ってくる

「っ…………まだ撒けないのかよっ、ウゼエッ…………！！」

僕の手には未会計の自分の手汗で温もったサンドウィッチと生ぬるくなったペットボトルのコーラ

そう

万引きをしていた

滅多に外に出ない僕はなぜか金も持たず、背中に背負うリュックには親友からもらった肌身離さず持っている絵本だけでコンビニに行き、魔が少し、ほんの少し差してしまったんだ

いや

こんなこと説明してる場合じゃない。とにかく

このままこのクソ野郎に捕まったら

GAMEOVER.終わりだ

また偽善者ぶったクソババアにしごき倒されるに決まってる

僕はそれが嫌で嫌で嫌で仕方なくて

と

「うっ………！！」

右手が引っ張られ、前のめりに倒れた

しまった…………！

後ろを見ると、息を切らしながらも僕の右手を掴んだ野郎がいた

「よし、姉ちゃん。ちょっと来てくれるかな」

野郎の湿った手のひらの汗が服に染み入り、ブルッと寒気を感じた

てめえみたいなクソ野郎はウゼえどころか

「キメエんだよ、このクソデブが…………！」

僕は野郎を眉をつり上げ嘲笑うと、一瞬の内で手をふりほどき、そのまま駆け出した

その時だった

激しいクラクションの音が僕の左耳をつんざく

「っ…………！？」

左側を見ると

自分の何倍もある巨大なトラックの車体。それが僕のすぐそばまで迫っていた

ブレーキも虚しく、ドンッという鈍い音がぶつかった自分自身でも分かった

痺れるような、熱いような激痛が体の左側から全身へと伝わたり、僕は顔を歪める

トラックにぶつかり飛ばされ、そのままゴロンッと仰向けに転がり、止まる。綺麗な青空は真っ赤に染まっていた

何だ…………この金属みたいな味……………ハハッ………僕死ぬのか？まぁ……………それも良かったりして

僕は少し口端を吊り上げると、気を失った