31話 ページ35
スカーの後ろに立って拳を振り上げたのはアームストロングだった。スカーはそれをぎりぎりで避ける。放たれた拳は、大きな音を立てて目の前の家の壁を破壊した。
「ふぅーむ……我輩の一撃をかわすとは、やりおるやりおる。」
「…新手か…。」
スカーは攻撃に備え、構え直す。
「この場の全員滅ぼす…と言ったな。ならばまず!!この我輩を倒してみせよ!!この豪腕の錬金術師…アレックス・レイ・アームストロングをな!!」
そこから、錬成しては壊す、錬成しては壊すの二人の攻防戦が始まった。何時の間にか脱いでいたのか、アームストロングは雨の中上半身裸で戦っている。
エドワードは、スカーを見て何か思い当たることがあるのか、黙って考え始めた。
「…そうか!錬金術師の錬成過程は大きく分けて理解・分解・再構築の三つ。あいつは、分解の過程で錬成を止めているんだ!つまり…」
「錬金術師…奴も錬金術師だということか…!?」
「自分も錬金術師って…じゃあ奴の言う神の道に自ら背いてるじゃないですか!」
そんなの矛盾してる、とその場にいる全員が思ったことだろう。しかし、青い稲妻を発しながら物体を破壊する様は、まさしく錬金術師そのものだった。
そして、未だに二人の戦いは続いている。
「(ふむ…大柄な身体に似合わぬ軽いフットワークと、常人ばなれの破壊力…更に錬金術師とのコンビネーション。確かに厄介ではあるが…、)」
――――ここぞという所で大振りになる。
「追いつめたり!!」
「(…ここだ!!)」
壁際まで追いつめたスカーに、アームストロングは勢いよく一直線に拳を放つ。一方、巨体ならではの弱点を見つけたスカーは、姿勢を低くして、空いている相手の脇腹を目指して右手を持っていく。
しかし、寸でのところでアームストロングは後ろへと一歩下がった。
「(ここまで追いつめておきながら間合いを開けるだと!?)」
何かおかしいと感じたスカーは、はっとして、銃を構えるホークアイを見つける。
ドン!
「やったか!?」
「速いですね。一発かっすただけです。」
当たった衝撃でサングラスが取れ、今まで隠れていた目が明らかになった。その目は、この国では珍しい、赤い色をしていた。その場にいたマスタング等は思い当たる節があるのか、とても驚いている。勿論、Aもよく知っていた。
「褐色の肌に赤目…!!」
「……イシュヴァールの民か…!!」
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キラ(プロフ) - とても面白いです!更新楽しみに待ってます! (2018年11月3日 17時) (レス) id: 4b08e8e764 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - エド落ちキタあああ! (2018年9月30日 12時) (レス) id: 4351e9dc27 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - すごいなあ、彼女ちゃんは身体はってでも、二人を守ろうしたのね、それにエドは彼女ちゃん好きなんだ次回はどうなるのかな楽しみです (2018年7月3日 8時) (レス) id: 593bd57e41 (このIDを非表示/違反報告)
まーぶる(プロフ) - 晋陽さん» ひぇぇぇコメントありがとうございます!!頑張ります!これからも宜しくお願いします!ちなみに私もグリリン好きです← (2018年1月29日 22時) (レス) id: 88c9b03fcd (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - とっても面白いです!更新頑張って下さい!ちなみに、グリリンが好きです!← (2018年1月29日 19時) (レス) id: 8ef45f8c23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まーぶる | 作成日時:2017年12月27日 13時