鋼の錬金術師

２４話 ページ28

「────ごらんなさいグラトニー。」




高台には、ある街を上から見下すように眺めている影が二つあった。どちらも黒ずくめの服を着ていて、何とも怪しげな雰囲気を醸し出していた。




「人間はどうしようもなく愚かだわ。」




「おろか、おろか。」




「あぁ、全くだ。」




ふと、その場には居なかったものの声が聞こえた。どうやら、その三人は知り合いの様だ。しかし、後から来た一人の容姿は教主の顔をしている。




「これはこれは“教主様”。悪いわね、手を煩わせちゃって。」




「あぁ、これが終わったらさっさと受け持ちの街に帰らせてもらうからな。」




それにしても、と言って教主は外に目を移す。その街では、市民同士で争い合っている。外壁は崩れ落ち、街は無惨なものに変わっていた。




「あんたがちょっと情報操作して、わしが教団の者どもを煽ってやっただけでこの有り様だ。」




「えぇ、本当に……何度繰り返しても学ぶことを知らない、人間は愚かで悲しい生き物だわ。」




女は大きく口を歪ませながら笑う。




「ねぇねぇ“ラスト”、また人がいっぱい死ぬ？」




ラストと言われた女は、笑みを浮かべたまま肯定の返事を返した。




「死んだの全部食べていい？」




「食べちゃダメ。」




グラトニーの頭に軽く手を乗せて否定すると、後ろに振り返り教主の方を向いて言った。




「ところでエンヴィー。いつまで“その口調と格好”でいるつもり？気持ち悪いわ。」




するエンヴィーと呼ばれた教主は、赤い光を放ちながら、全く違う姿へと変形させていく。それは人間とは言い難い光景であった。




「やだなぁ、ノリだよノリ。でもどうせならさぁ、」




────こういう若くて可愛い方がいいよね。





そこにはもう教主は居なかった。







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やっとホムンクルス組出せました…(まだ主人公ちゃんと絡ませることはできませんが…。)
次話もまだ続きます！！

あと、文字数の関係上セリフを結構カットしています。申し訳ありません。

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