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「おいっ、何をしてるんだ！下がれ！」
「君っ！一般人だろう！？やめなさい！！」
焦ったような声。そこを睨む男。
人混みから飛び出してきたのは、スーツをまとっただけのどこにでもいそうなサラリーマン。
「っああぁぁぁああぁぁっ！！」
────パァンッ！
ヤケクソに叫びながら走ってきて、男の顔面スレスレで勢い良く手を叩く。
乾いた大きな音を立てたそれに、男は雷にでも打たれたかのように体を震わせて動きを止めた。
誰もが思わず呆然としている中、その隙にとでも言いたげにサラリーマンは男の手から少女を救出。
「………？ おに、さ、が………やった、の？」
「俺の個性だよ。『猫騙し』っていうんだ。目の前で手を叩いて驚かせた相手の動きを、少しの間止められる」
止まった相手の体は、個性主であれば自由に動かすことができるらしい。
少女を抱えて男と十分に距離を取った瞬間に個性が解け、同時にヒーローが男を拘束。
無事、人質事件は解決した。
抱きかかえていた少女を下ろすと、恐怖と安心で力が抜けたのかへたりと座り込む。
それに笑ったサラリーマンは、鍛えられていない凡人の手で少女の頭を優しく撫でた。
「ヒーローじゃなくてごめんな。でも、君が無事でよかった」
名も無き一般人であった彼は、少女にとって一番のヒーローだった。
△▼△
サラリーマンの彼はあの後、「公共の場で、ヒーロー活動認可資格免許を持たずに人へ向けて個性を使用した事による違法行為」で警察に逮捕、連行されていってしまった。
いくら彼が少女を助けるためとはいえ、違法は違法だ。無罪では済まされないだろう。情状酌量の余地があるとはいえ、犯罪者となってしまったのだ。
少女はわからなかった。あの人は何もしていない。むしろ助けてくれた。命の恩人だ。ヒーローは助けてくれなかったけど、あの人は助けてくれた。なのに、あのヒーローたちは褒められて感謝されて、あの人は犯罪者だと後ろ指を指されている。
わからなかった。悲しかった。
それでも彼女は憧れた。彼のようなヒーローになりたいと望んだのだ。
「は？ヒーローになりたい？…本気で言ってんの？」
「そんな簡単になれるわけないでしょ」
「お前みたいなのがヒーローなんてできるわけねぇだろ」
「現実を見なさい。夢と現実は違うの」
望んだ、はずだった。
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リリィなモモ(プロフ) - これめっちゃくちゃ続きが気になる…更新日が約3年前… (1月31日 20時) (
レス) id: 6ff453207e (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - 設定や描写が凝っていてすごく面白かったです！更新待っています (6月8日 22時) (レス) @page14 id: 52318af24f (このIDを非表示/違反報告)
忍者しか勝たん - なんか、、本当にすごい(語彙力無くてすみません)更新良ければ頑張って下さい (6月6日 13時) (レス) @page14 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 一緒に合作しませんか？ (2021年9月7日 22時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして！とっても素敵ですね！高評価しました！ (2021年9月7日 22時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆっくりみーさん | 作成日時：2017年5月13日 22時
