人格10人 ページ14
中学3年生にもなれば、全員進路について本格的に頭を悩ませ始める。
ほんわかした雰囲気で、口調がすこし辿々しいところがチャームポイントな我が担任は「皆さんの中でも、ヒーロー科に進む人はいると思いますが……」と進路の紙を配る。
「はーい！おれでーす！」「私もヒーロー科！」「あたしはサポート系かなー」「俺もー」「僕は経営方面！」と、思い思いに声がとぶ。
そのキラキラハキハキした声を聞くたび、自分が惨めになってくる。
みんな、確固たる自分の意志で進路を決めてるのに……私、なにやってんだろ……
第1志望に「雄英高校ヒーロー科」と書いたら、名前の知らないクラスメイトが勝手に用紙を覗き込んできた。
「え？人重さん雄英志望なの！？あの雄英！？」
クラス中から刺さる視線。
……大声で人の進路言うんじゃねぇよ……
「…ま、まぁ………一応……」
「へぇ〜以外〜。無個性なのに頑張るね〜？あっごめぇん！個性は一応あるんだっけ？」
沸き起こる笑い。何が面白いのか、さっぱりだけど。
……私には個性がある。「多重人格」という、私の中に何人もの人格が存在する個性だ。
そう。私に個性は確かに存在しているのだ。
にもかかわらず、私の足の小指の関節は「2つ」存在している。
──世界人口の8割が、「個性」と呼ばれる能力を持って生まれてくる超人社会である現代。
8割が、ということは、残りの2割はなんの能力も持たずに生まれてくる。通称「無個性」。
その個性持ちと無個性では、足の小指の形が違うらしい。
個性持ちは足の小指の関節が「1つ」。無個性は足の小指の関節が「2つ」。
理由はなんか色々あるらしいが、私は詳しくないのでよく知らない。
そして何故か、この社会では「無個性」という存在は見下され差別され嗤われる存在らしい。
だから、個性を持つのに「無個性」の身体をしている私を、彼らは嗤っている。
………別にどうでもいい。
だって、私の人格達がいるから。私の人格達が私の代わりに殴り掛からんばかりに出てこようとしてるから、それだけでいい。
そもそもちょっと不思議な力があるかないかの違いってだけなのに、どうしてそこまで張り合えるんだろう。疲れねーのかな。
続く
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リリィなモモ(プロフ) - これめっちゃくちゃ続きが気になる…更新日が約3年前… (1月31日 20時) (
レス) id: 6ff453207e (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - 設定や描写が凝っていてすごく面白かったです！更新待っています (6月8日 22時) (レス) @page14 id: 52318af24f (このIDを非表示/違反報告)
忍者しか勝たん - なんか、、本当にすごい(語彙力無くてすみません)更新良ければ頑張って下さい (6月6日 13時) (レス) @page14 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 一緒に合作しませんか？ (2021年9月7日 22時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして！とっても素敵ですね！高評価しました！ (2021年9月7日 22時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆっくりみーさん | 作成日時：2017年5月13日 22時
