人格1人 ページ5
中学2年生の夏は、案外忙しい。
進路を本格的に考えなければならないからだ。早い人は小学生の時から行きたい高校を決めていると聞かされている。
といっても私はまだ決めていない。程々のところへ行けたらいいかな、なんて思っている。
程々の高校に行って、程々の成績を収め、程々のお給料がもらえる職に就く。
オタクやってる以上金の浪費は激しくなるかもしれないけど、そこはなんとかやり繰りするしかない。オタクは何かと金がかかるのだ。
まぁそんなわけだから、親にもそんな話をした。
行きたい高校は、近場の中堅。
やりたい事や将来の夢だってまだわからないのだ。ただ、合格できればそれでよかった。
報われるかどうかなんてわからない努力を超えた先の不確かな未来より、確実な方法で掴みとれる安定した未来。
それを含めて親に話したら、心底蔑んだような瞳で却下された。
「そんな意見、通ると思ってんの？」
まぁわかっていた。14年間生きてきて、私の意見を親に話して通った事なんて一度もない。
これだから両親に何か言うのは嫌なんだ。それでも言うしかないんだけれど。
「そんな底辺の高校に行かせるわけ無いでしょう。全く、あなたはいつからそんな向上心の無い子になったわけ？」
口が開かない。言い返したいのに、頭と心臓が痛くて上手く言葉が見つからない。喉が締まって口が乾く。
じゃあ、どこならいいの。
その一言すら返せない。返したらまた怒鳴られるから。
「そもそも、どうしてそこに行きたいの？」
そんな事聞いてどうするの。
私が言ったところで意見変える気なんてさらさらないくせに。すべてねじ伏せて、自分の行きたいところに無理やり行かせようとするくせに。…まぁ、如何でもいいけれど。
「内側」から、私の人格達が心配げにこちらを見てる気配を感じた。
大丈夫だよ。言うだけだから。
一度唇を舐めてから、動かない口を無理やり開いた。
「…近いし、私の頭でも受かると思ったから」
「はぁ？」
「………だめ、かな」
「駄目に決まってるじゃない！よりにもよってそこ！？本当にちゃんと調べたの！？」
「ネットとかで……」
「ネットだけじゃない！！本当に行きたいの！？本当に行きたいなら直接学校いくとか何かしら行動をするでしょ！！」
そうなのだろうか。頭がいいらしい母親が言うのなら、そうなのかもしれない。
……さすが、私とは大違いだ。
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リリィなモモ(プロフ) - これめっちゃくちゃ続きが気になる…更新日が約3年前… (1月31日 20時) (
レス) id: 6ff453207e (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - 設定や描写が凝っていてすごく面白かったです！更新待っています (6月8日 22時) (レス) @page14 id: 52318af24f (このIDを非表示/違反報告)
忍者しか勝たん - なんか、、本当にすごい(語彙力無くてすみません)更新良ければ頑張って下さい (6月6日 13時) (レス) @page14 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 一緒に合作しませんか？ (2021年9月7日 22時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして！とっても素敵ですね！高評価しました！ (2021年9月7日 22時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆっくりみーさん | 作成日時：2017年5月13日 22時
