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「そうだ、夢なら覚めるはず、覚めて、覚めてくださいお願いだから覚めて私はやらねばならぬことがお嬢様を守らねばならぬのに私は私は私は私は………っ！！」
「落ち着いてください！！これは夢ではありません！」
学園長に諌められ、恐る恐る自らの頬をつねる。
つねってから自分の頬をそのまま殴った時はさすがのユウもギョッとした。
そして、変わらない景色に絶望していた。
学園長はオロオロしたままだ。いい年しといて、年頃の少女も慰められないなんて、と内心で少しばかり毒を吐く。
「………Aさん」
肩に触れれば、彼女が顔を上げる。
瞳は涙を湛えていた。出会ったばかりだが、表情が豊かな子だと思った。
「実は僕も、まだこれが夢なんじゃないかって思ってるんだ」
「…………はい」
「だから、きっと覚めるよ」
夢だと思ってるから、いつか終わる。
メチャクチャだってことは分かってる。けれどこれしか、上手い言葉は見つからない。
それに立ち尽くしている学園長よりかはマシなはず。
「大丈夫。Aさんは一人じゃない。だって同じ状況の僕がいる。
生まれこそ全然違うけど、魔法が使えないのに突然連れて来られたことは一緒だから。一緒に帰る方法を探そう？気休めにしかならないけど………きっと、なんとかなるよ」
ぱちこん、瞳を瞬かせた。
彼女にとって、人類とはフリューゲル家を脅かす敵であり、興味深いものの一つであった。
彼女の主は人類との”仲直り"を望んでいたが、正直その望みは叶いそうになかった。
Aの知る人類は、野蛮で、非論理的で、"勝手に自信という存在を無責任に生み出した"どうしようもない存在。
しかし目の前の人類はどうだろう。
確かに非論理的なところはあるし、なよなよとしていてまるでちくわぶだ。すぐに潰れたりちぎれてしまいそうな弱々しさ。
しかし少なくとも、野蛮ではなかった。
自分と"お話"しようと、歩み寄り、手を差し伸べている。
お互いに不快な
Aは、目の前に星がひらめいた気分になった。
・→←星はいつでもそこにある。太陽の光に負けているだけなのだ
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作者名：ゆっくりみーさん | 作成日時：2020年5月28日 1時
