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学園長様は魔力とやらがない私達がこちらに来てしまったことに酷く動揺されておられます。
その混乱に乗じて学園長様に抑えつけられていた珍妙な猫が抜け出し、火を吹きはじめたではありませんか!
「ユウ様!此処は危険でございます」
「ど、どうしようAさん!?水は…持ってないし!このあたりに水場なんて…!」
ユウ様はどうやら私の知る人類よりもこういった状況に不慣れなご様子。
なれば、慣れている私が導くのがフリューゲル家メイドとしての私の役目!
「抱え上げますのでしっかりお捕まりになってくださいね!」
「えっ?ちょ、待ぁぁあっ!!?」
背中と膝裏をしっかりと抱え、所謂横抱きの体制で抱え上げます。
そのまま炎が小さい箇所をとびこえ、炎の影響が最も少ない場所へとユウ様を避難させました。
「こちらなら火が回ってくることもないでしょう。危ないと感じましたらすぐに私をお呼びください」
「ぅえ………あ、りがとう……」
何故かしどろもどろになっておられます。まだ人類のことはよく分かりません…。
「あちちちちっ!!尻に火がぁっ!!」
慌てたような声に振り向けば、褐色肌の人類が慌てたようにお尻の火を叩いておられます…が、燃え広がっている以上、叩くのは逆効果でございます!!
「失礼、」
即座に彼のオーブを剥ぎ取り、丸めて押さえつけ鎮火いたしました。
幸い燃えていたのはオーブだけのようで、彼自身は無事な様子です。
「乱暴にしてしまい申し訳ございません、オーブをお返しいたします!」
「礼を言うのはこっちだぜ!ありがとうな、助けてくれて!」
ものすごい笑顔でございます。まるでエアロビインストラクターのよう!
しかしこれだけの炎はいくらフリューゲル家のメイドたる私でも水なしでは如何にもできません。
ユウ様だけでも部屋の外へ避難させるべきかと考え始めたとき、突如として炎が消え去りました。
どうやら、あの赤い髪の彼が何かされた様ですが…。
ひとまずあれだけの炎が無事消えただけでも良しとしましょう。何故か部屋は焦げ一つなくキレイなままですね。何故でしょう?
グリムと名乗っていたあの珍妙な猫は外へとつまみ出され、ニュウガクシキは閉幕。
私達は魔法が使えないとやらで、早急に帰らねばならないとのこと。
そろそろこの夢ともおさらばですか。少々寂しいです。せっかく人類の友人ができましたのに。それにもう少し、お嬢様へのお話のタネを見つけたかったところですね。
星はいつでもそこにある。太陽の光に負けているだけなのだ→←・
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作者名:ゆっくりみーさん | 作成日時:2020年5月28日 1時