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「君の所にも来たの?その、黒い馬車が」

「いえ………私はお嬢様と眠る前のお話をして、その後眠りについたはずなのですが…」


 これはこれは、私としたことが自己紹介もせずに話を進めてしまうなんて。
大事なのは気持ちを伝える言葉と、お話すること。お嬢様がよく仰っておられました!


「申し遅れました!私、ウラノス国テンペスト領を統治されるフリューゲル家にてメイドをしております、Aと申します!」

「う、うらの………?ってメイドさん!?」

「はい!」

「メイドさんって本当にいたんだ…僕はユウ。日本って国にいたんだけど……」

「ニホン…?嗚呼、文献で少しだけ拝見したことがあります。とある星にある小さな島国の一つだとか」


 どうやら私とユウ様の故郷は銀河をまたいでとおーく離れた星単位で違うか、はたまた世界単位で違う様子。ふむ、星や世界単位で違うとしたらこの人類と会話できるのも納得がいきます。きっと機械語と似た言語形態なのでしょう。

 初めての人類…………ユウ様と会話し心を通わせているうちにたどり着いたのは大広間。(人類があんなに大勢!)
学園長に促されて「闇の鏡」と呼ばれる大きな鏡の前へ。
それでも、お嬢様のドレッサーの鏡よりかは小さいですが。
不思議なことにその鏡に写るのは私やユウではなく、緑の炎と仮面のような顔。一体どんな仕組みなのでしょう?しかもお話するとは………。


「じゃあ、僕から先に行くね」


 ユウ様が鏡の前に立ち、鏡様の言葉を待ちますが……
帰ってきたのは、「分からぬ」「この者からは魔力の波長が一切感じられない」「よって、どの寮にも相応しくない」との言葉。

続いて私ですけれども、これまた似たようなお言葉をいただいてしまいました。
しかも「魂が歪」「歪み欠けているだけでなく、不自然に繋ぎ止められている」とまで言われてしまいました。
………言い得て妙ですね。なんとも不思議な。

・→←炎と猫舌の相対性について



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作者名:ゆっくりみーさん | 作成日時:2020年5月28日 1時

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