炎と猫舌の相対性について ページ2
──────といったふうに、お嬢様と談笑しつつも眠りについたはずなのですが。
「待ちやがれ〜〜〜〜っ！！」
「わ、わ………っ！！やだよ！止まったら丸焼き確定じゃんか！！」
ガスバーナーの如く炎を噴射する珍妙な喋る猫に追い回されているこの状況は一体何なのでしょう？
私の手を引いて走っているのは……心なしか中性的ではあるものの、声の低さからして男性。そしてその姿、繊維のような髪、柔らかく温度のある手…………
そう、きっとこれは人類です。人類なのです。
恐らくこれは夢なのでしょう。早速お嬢様への話のタネができてしまいました！まさか人類と夢の中で遭遇してしまうなんて！
くるくると回る景色は見たことないものばかり。
緑に囲まれた広い庭、並べられた木製の脆そうな椅子に机たち。
最後にたどり着いたのは…………書物が大量の…図書室、でしょうか？
「夢なら早く覚めて……っ！！」
奇遇ですね！私も夢だと思っていたのです！
不思議なこともあるのですね。夢の中で夢という言葉が出てくるなんて。
珍妙な猫は鼻が効くらしく、私達を即座に見つけ出し「オレ様の鼻から逃げられると思ったか、ニンゲンめ！」と吠え立て………ニンゲン？
ニンゲン…………人間？それはつまり…
「やはり人類！！あなた、人類なのですね！」
「急に何！？僕も君も人間でしょ！？」
嗚呼、嗚呼！！
まさか本当にこうして人類と………ん？
おかしいですね、我々と人類の言語形態は違うはず…なのにこうして通じあえている？
私は一応人類寄りの体ではありますが、言語は先輩や旦那様に教わったため彼ら寄りの言語のはず…………夢だから、でしょうか。
色々考えているうちに、全身まっくろくろな方が現れ、あれよあれよと隣の人類とともに「ニュウガクシキ」とやらに連れて行かれることに。
…書物で見たことはあります。
ニュウガクシキ。「ガッコウ」と呼ばれる人類の学力養成所へ所属する際の儀式だと記憶しておりますが……。
「学園長」と名乗る彼から粗方の事情を聞きましたが、これは夢なのですよね？
夢にしてはかなりリアルというか、凝っているというか。
隣の人類はちんぷんかんぷんといった顔をしておられます。やはり人類の脳は先輩やお嬢様のように論理的にできていないのでしょう。まぁ夢なので論理も何もありませんが！
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作者名：ゆっくりみーさん | 作成日時：2020年5月28日 1時
