七十口目 ページ6
「わ、私っ、弟と観光に来ていて…。二人で個室のカフェで
お茶をしていたんです。そ、そうしたら、この人達がっ!」
ゾ「"突然押し入ってきて自分を眠らせて、起きたら弟がいなかった"、か?」
他の被害者から聞いたことと照らし合わせるように言ったゾムに
彼女は驚いた表情を浮かべて、しかし首を横へ振った。
「い、いえ…、確かに眠らされましたけど、私の家が薬屋で
薬に対しての耐性があって途中で目覚めたんです。
目覚めた私は連れていかれそうになる弟を必死に止めようと
しました…。でも止められなくてっ!結局弟は連れていかれ、
目撃してしまった私は殺されそうになりました」
ゾ「なるほど…、まあでもコイツらが関係しとるんは確かやな」
ゾムの言葉に頷き彼女と視線を合わせる。
『今、軍で誘拐事件の調査を行っています。
弟さんは事件に巻き込まれたのでしょう。
僕たちが絶対に見つけ出して見せます。
だからそれまで安全な場所で身を隠しておいてください』
そう言うと彼女はおずおずと頷いた。
「わかりました…。
あの、助けてくださってありがとうございます。
私はヴェレーノと申します。弟はファルシュといいます。
…お二人のお名前をお聞きしても?」
恭しく告げる彼女に僕は続ける。
『僕はAと言います。我々だ軍の者です』
ゾ「同じく我々だ軍のゾムや」
彼女はゆったりと頭を下げ、再度お礼を言った。
「本当にありがとうございました。
弟のこと、よろしくお願いします。では、近いうちにまた」
そう告げクチナシの強い香りを残して彼女は去っていった。
ゾ「わからんことも多いけど、とりあえず報告やな」
『そうだね。あと、薬草の買い出しも忘れずに、ね』
______________________________
A達が去った後、彼女はその場に立っていた。
怯えた表情が嘘だったかのように
酷く妖艶な笑みを浮かべていた。
「ようやく、見つけたわ。
_________可愛い私のマリオネット」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 280人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルーカス - 応援してます〜！(≧∇≦*) (2019年5月1日 19時) (
レス) id: 9beb8a0104 (このIDを非表示/違反報告)
鯨の鼻血(プロフ) - ルーカスさん» ありがとうございます!おかげ様でここまで書いて来られました!更新頑張ります! (2019年4月26日 21時) (レス) id: 20d59815cf (このIDを非表示/違反報告)
ルーカス - 続続編おめでとうございます！！続きめちゃめちゃ楽しみにしてます！ (2019年4月21日 13時) (レス) id: 9beb8a0104 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鼻血 | 作成日時：2019年4月21日 2時
