黒バス 短編集 【オレンジ】

【天然】　木吉鉄平　†杏剣†sリク ページ38

天然すぎな故に、冗談すら通じないあたしの彼氏さん。
　
身長が低いあたしに対して、背が高い彼。
　
でこぼこなあたし達が付き合ってるということは誰もが知ってるんだろうな。
　
　
「彼女と居たいのは、普通のことだろ？」
　
「普通じゃない！今は、普通じゃないのー！！」
　
バスケ部の練習中のことだ。
　
マネージャーのあたしと監督のリコで練習メニューを組み立てていると
　
彼氏の鉄平が来て、あたしを後ろから抱きしめながらメニュー構成にアドバイスをしてきたのだ。
　
「おかしいの！今は練習中！今は、彼女と見ないで。」
　
「え、彼女じゃなかったのか！？」
　
ド天然すぎる鉄平は何を勘違いしてのだろうか。
　
あたしが、鉄平の彼女じゃないなら今までのことはなんだったんだ。
　
「いや、彼女だけどね？練習中はマネージャーとして見てってこと。」
　
「いつもマネージャーだろ？」
　
…鉄平に何を言っても無駄なようだ…。
　
「あ、そういやリコに買い出し頼まれてたんだ…。」
　
「そうなのか？じゃあ、俺も行く。」
　
「練習、あるでしょ？」
　
鉄平をあたしの買い出しの付き合いだけに練習をサボらせるわけにはいかない。
　
「じゃあ、行ってくるね？」
　
そう言い残して、あたしは買い出しに向かう。
　
　
「あー、リコにお金貰うの忘れてた…。まっ、自分で出して後で返してもらうか。」
　
自分の財布から、代金を払い学校へ戻ろうとした。
　
「そこのお嬢さん、いいもん持ってんね？俺らに頂戴よ？」
　
柄の悪そうな３人組の男たちがあたしに声をかけてきた。
　
「いいものなんて、持ってないですよ？」
　
「嘘吐いちゃって〜？」
　
やばい、こいつらはやばい。
　
本能がそう何度も訴えていたのに、足が動かない。
　
あたしに手が伸びてきた、もう目を瞑るしか出来なくて。
　
「俺の彼女に何か用なのか？」
　
聞き覚えのある声に、あたしは振り返る。
　
「鉄平！？」
　
「こ、こいつ…に、逃げるぞ。」
　
鉄平を見た瞬間、男たちは逃げ出していく。
　
そりゃ、こんな高身長を目にしたらそうなるのも無理はない。
　
「全く…、だから言っただろ？俺も行くって。」
　
「ごめん…。」
　
「いいよ、謝らなくて。Aを守れたんだし。」
　
　
天然
　
だけど、頼りになる頼もしい彼氏さんです。
　
　
(で、何でここにいるの？)
　
(リコに頼まれたんだ、お金忘れてただろ？)
　
(わざわざ届けてくれたんだ、ありがとう)

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