黒バス 短編集 【オレンジ】

【一目惚れ】　笠松幸男 ページ4

始めは、彼女のバスケに対する想いに俺は魅力を感じてた。
　
だけど、いつの間にか彼女のプレーに見惚れてて、
　
今、俺は彼女自身に惚れている…。
　
　
「笠松ー！自主練、付き合っていい？」
　
放課後の練習も終了して、俺は１人で自主練を始めようとしてた。
　
そこへ、ジャージ姿のAが来た。
　
「別にいいが…、８時半だぞ？いいのかよ。」
　
夏でも、さすがに８時半になれば暗い。
　
「平気、平気！あたし、女に見られないしさ！」
　
にっ、と白い整った歯を見せて笑う。
　
確かに、短髪だし性格も男っぽいかもしれねぇけど、
　
女にあるものは、きちんと服の上からでも分かる。
　
「はぁ…、９時に上がるからお前も上がれよ？」
　
「了解っ！」
　
そういうと、Aはボールを取り出してきて俺の隣でシュート練習を始める。
　
数えて見たら、１０本中９本、３Pを決めている。
　
「(何なんだよ、こいつ…)」
　
Aの顔は、シュート決める度に生き生きしてる。
　
無邪気なようで、真剣な瞳。
　
「何…？」
　
Aは、シュート練習を中断して俺の方を向く。
　
「な、何でもねぇ！////」
　
俺は視線をボールとゴールに戻して、わざとAから視線をズラす。
　
「変な笠松。まぁ、いいけど…。」
　
Aも気にしない様子で、シュート練習に打ち込む。
　
いつの間にか、針は９時を差していて、俺とAは自主練から上がる。
　
「おい、A。」
　
それぞれの更衣室に分かれる際、俺はAに伝える。
　
「着替えたら、外で待っとけ。送ってやる。」
　
　
一目惚れ
　
初めは、お前のバスケに惹かれただけだからな。
　
　
(は？いいよ、別に)
　
(よくない。俺がしてやるって言ってるんだ)
　
(…自己中だな、笠松って)

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