短編集 (ページ2)

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彼side

「なあ、今日ってなんの日か知ってる？」

「今日はな、___の日なんだって」
()
友達が、まるで彼氏に記念日を思い出させるときのようなセリフを言った。

今日は本当なら彼女とデートに行くはずだった。もちろん俺も準備した。
行く気満々だったよ。
今となったら、言い訳にしか聞こえないけど。

でも、___の日だと知った今、選択肢はひとつしかない。

「ちょっ、ごめん！俺行ってくるわ！」

前にも似たような事があった。
あぁ、でもあの時は立場が逆だったかな。
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『ごめんね。私が悪かったから。』

『だからさ、許してよ。ねぇ、ギューってして？』

『あっ、目そらした！もう！』
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あ〜！！口元がにやける。可愛いな、ったく。

コンコン)
どうやらAが帰ってきたようだ。

彼「A！ごめん、今日行けなくて。」

ほんとにごめん。でも俺も寂しかった。

彼「少しだけど、抜けてきた。」

こんな、カッコつけたこと普段はないけど

彼「だからさ、許してよ。ギュッてしてよ。」

好きだから。
俺はAに抱きついた。
やべっ、超ドキドキする。心臓の音、聞こえるとか恥ずかしっ！

ふと、Aの髪にあとが着いているのが見えた。おそらくゴムのあとだろう。
なんだかそれも愛おしく感じる。
気づいたら触ってた。それから頭を撫でて、撫でて、撫でてたら

「ｿﾛｿﾛ､ﾓﾄﾞﾘﾏｼｮｳ｡ｵﾄﾓﾀﾞﾁｶﾞ､ｼﾝﾊﾟｲｼﾃｲﾏｽ」

と、俺のスマホの機能のAIが話しかけてきた。
うっわ〜、電源切っとけばよかった。

『ふふっ。』

『ねぇ、顔赤くなってるよ。』

意地悪な笑顔をしているAに、僕は聞いた。

「ねぇ、髪にゴムのあとついてるよ。どうしたの？」

彼女の真似をして尋ねると、彼女は顔を真っ赤にして言った。

『別に、君を見つけて髪下ろした訳じゃないから！』

「へぇ〜、君は僕に綺麗な姿を見てもらいたかったんだ。」

『っ違う！ニヤニヤするな！』

恥ずかしいと、俺を｢君｣と呼ぶAに、俺がふざけて｢君｣と呼んで、
2人で、笑って、そんな関係が大好きだ。

「A。今日ってなんの日か知ってる？」

『ふふっ。何？その記念日をわからせる彼女みたいなセリフ(笑)』

「今日はさ、ハグの日なんだってさ。」