ある男の後悔 ページ21
高層マンションの一角。いつものメンバーでの酒飲み。
ただ酒を飲んで摘まみを食べて盛り上がることがお馴染みの目的なのだが、今回は違った。
「…」
この4人の中で最年少である男を、励ますために集ったのだ。
夢追翔。
作曲をしながら配信活動を行っており、ファンや同僚には内緒で恋人がいる男。
そして、数週間前にその彼女が事件に巻き込まれてしまった。
夢追曰く、事件に巻き込まれた日、彼女が最後に会ったのが夢追だった。
2人は事務所の最寄り駅まで一緒にいて、別れたあと彼女の家の近くで事件が起きた。
夢追からすれば「自分が一緒にいれば」と思わずにはいられないだろう。
配信では元気な調子を見せている。だが同僚、特に友人である彼らの前では緊張が解れるのか、落ち込んだ様子を見せていた。
そんな彼を心配して、友人ら3人は今回の飲み会を主催した。
「ゆめお、酒の進み早くないか？一旦チェイサー挟めよ」
「…あぁ、そうだね。ありがと社さん」
「……夢追さん、あなたの精神が平気でないことを分かった上で聞きます。空中さんにはお会いしましたか？」
「…」
「ちょっと加賀美、本題に行くの早すぎない？」
「すみません。この様子だと聞く前に夢追さんが酔い潰れてしまいそうなので」
空中が入院して早3週間。
事務所から「配信に話題を出さなければ見舞いOK」と言われたので、既に仲が良いライバーは見舞いに行ったのだ。
加賀美は空中と面識がなかったため、見舞いに行くことは敢えて止めていたのだが、そんな中あるライバーから連絡が来たのだ。
「まだ夢追さんが見舞いに来ていないらしくて、加賀美さんは何か聞いてませんか？」と。
連絡を寄越したのは神田だった。
空中とも仲が良く、2人の交際も知っている数少ないライバー。
既に神田は2回見舞いに行き、空中と頻繁に通話もしている。たまたま夢追の話題になったとき、空中から夢追と会っていないことを聞いたのだ。
夢追は気遣いができるし、義理堅い男だ。そして彼はこう見えて恋人を溺愛している。
見舞いに行かないわけがないのだ、だが彼は空中と通話を1度した以外、接触をしていない。
淡泊、非情と思われるかもしれない。だが加賀美たちは既に察しているのだ。夢追が見舞いに行けない理由を。
「どんな顔して会いに行けばいいのか、わからなくて…」
「謝って済む話じゃないし、謝ったところで過去が変わる訳じゃない」
「それでも、何かできたんじゃないかって、思わずにはいられないんだ」
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ヨッシー(プロフ) - 柚葉さん» ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです！ (2023年5月13日 21時) (
レス) id: f4f0a0a1d1 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - このシリーズとっても面白くて大好きなんです！更新頑張って下さい！ (2023年5月13日 19時) (レス) @page33 id: c43a5d752c (このIDを非表示/違反報告)
ヨッシー(プロフ) - 栞華さん» コメントありがとうございます！やっと界隈が落ち着いて私も一安心してます。 (2023年3月15日 18時) (レス) id: 95ee8f64c0 (このIDを非表示/違反報告)
栞華(プロフ) - 待ってました！！公開ありがとうございます！！ (2023年3月15日 18時) (レス) id: ccdafaece3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨッシー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/zyoui1/
作成日時：2023年2月10日 19時
