第49話 ページ7
合流してから、狗巻は強い呪言はまだ使っていない。動きを制限するものばかりだ。それでも狗巻の喉は潰れた。この呪霊はそれほど格上だということがわかる。今動けるのはAと伏黒だけ。状況は一気に悪化した。どうする、と考えたとき、立ち上がった狗巻が伏黒の肩に手を置いた。
「高菜」
狗巻の呪力が上がっていくのを感じる。恐らく、強い言霊を使う気だ。だが、これ以上呪言を使えば狗巻の体に危険が及ぶ。
「狗巻先輩…!それ以上は…!」
呪霊の真正面に立つ狗巻。瞬間、狗巻の口から呪言が炸裂する。
『ぶ っ と べ』
呪言によって一番高い屋根まで吹っ飛ばされた呪霊。その隙を逃さす、駆け付けた真希が背後から斬りかかる。
【そのナマクラでは私は斬れませんよ】
だが、刀は呪霊の右腕を斬り落とせず、割れてしまう。透かさず、伏黒が持っていた刀で呪霊の頭部に生えている目の樹を一本斬り落とした。すぐに再生し始めてしまったが。
それでも、その様子を見ていたAは疑問を確信へと変えた。
(やっぱり、弱いのは目の樹だったか…!これなら、いくらでもやりようはある)
【こちらの刀は悪くない】
「もっといいのがあるぜ」
真希の隣に屈んだ伏黒は、自身の影から三節根を取り出す。それを持った真希は、構えて呪霊を睨みつける。
「これを使うのは、胸糞悪ィけどな」
ただの三節根ではない。特級呪具・游雲。特級呪具の中で唯一、術式効果が付与されていない。使用者の膂力によって、その威力は増幅する。天与呪縛によって得た驚異的な身体能力を持つ真希にはピッタリな呪具だといえる。
真希が振るった游雲によって、近くにあった川まで呪霊は吹っ飛ばされる。川に落ちた呪霊に伏黒が玉犬・渾を呼び出して攻撃させる。
その間にAは、木陰に身を潜めていた伏黒と真希に“合図”を送った。
合図の意味。それは、大規模攻撃を発動する意だ。
以前、真希がAの術式には汎用性があると言っていた。作戦時にこの合図は『大規模攻撃をすることで自分達の居場所を知らせる』ために決められたものだった。Aの術式、炎灼呪術は攻撃が派手なため、敵に見つかりやすいというデメリットがある。だが逆に、味方に居場所を知らせることができるのだ。
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ヨッシー(プロフ) - プスメラさん» コメントありがとうございます!作品説明に書いてある通り、五条悟オチです。応援ありがとうございます。 (2021年2月15日 14時) (レス) id: 315b29eacb (このIDを非表示/違反報告)
プスメラ - ヨッシーさん、この小説は五条悟オチですか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年2月14日 23時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨッシー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/zyoui1/
作成日時:2020年12月23日 10時