全てが愛おしくて ページ8
告白されてから、ずっと考えていた。休止中も、裁判が終わって諸々の手続きが終わった後なんかは特に。ローレンは私のことどう思ってるんだろう、私とどうなりたいんだろう。私は、ローレンとどうなりたいんだろう、って。
もし、ローレンに彼女が出来たらって考えた。そしたら凄く嫌な気持ちになって、心がもやもやした。私の方がローレンのゲーム好き理解してるのに、とか、嫌いなものも知ってるのに、とか、価値観とかだって私の方が合ってるんじゃ、とか。考えただけでこうなったってことは、もうそういうことなんだと理解してしまった。
『ローレンのことが、好き』
「え」
『私で良ければ、彼女になりたい』
「___…」
『わっ』
私の返事を聞いて、瞳を少しだけ見開いたローレンは私の手首を優しく掴んで引き寄せた。嗅ぎ慣れた匂いに包まれる。煙草と、ローレンの匂い。手をどこにやればいいのかわからなくて、右往左往していると。
「手、背中に回して」
耳元で囁かれた声に、少し肩が揺れてしまった。そういえばいつだったか、配信で本人に声が好きだと伝えたことがあったっけ。ずるいなぁ、きっと覚えてるんだろう。言うこと聞くしかないじゃん。
そっと背中に手を回すとより実感する。ローレン本当に体薄いなぁとか、でも筋肉はあるんだよなぁとか。凄い変態みたいだどうしよう。
「ふはっ、心臓ばくばくじゃんお前」
そう言われたのが悔しくて、目の前の陶板に耳を傾ける。すると、私の今の鼓動と同じぐらい速いテンポでその体が脈打っていることがわかる。
『ローレンこそ…』
「そりゃそうだろ、俺彼女できんの初めてなんだから」
『私も…彼氏初めてだ』
「はぁあ〜〜……」
ながーいため息をついたローレンは私の体を放した。曰く「今日は送り狼になる気ねーから」だそうで。大人だし、そういう小説とか読むの好きだから理解したけれど、いざ自分がその立場になるとどう反応すれば良いのかわからない。
「そういう訳だから、俺帰るわ。ちゃんと戸締りしろよ」
『うん。ありがとうローレン』
「またな」
部屋に入り、ぺろとコミュニケーションを取り、シャワーを浴びて湯船に浸かれば、思い起こされる匂いと言葉。
優しく抱きしめてくれた手も、私の頬にかかった長い赤髪の感触も、何もかもが愛おしく想えてしまう。それと同時に、この感情をどこにやればいいのかわからなくて、思わず水面に顔をつけてしまう。
『恋って、こんなに頭いっぱいになっちゃうんだ…』
【切り抜き】朝6時に呼び出されマリカをするハメになったミズキ→←・・・
622人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヨッシー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/zyoui1/
作成日時:2023年11月3日 23時