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「結構食べたなぁ」
「お腹いっぱい〜」
「あの量をまさか食べきれちゃうとはね」
「まぁ男3人いればいけるっしょ」
「ミズキ?どうしたの?」
「リスナーの皆さんに説明すると、今レインくんの肩にもたれ掛かってるよ」
「マジでどした?寝た?」
『…また、ライバーとして会えて嬉しい。ありがとう』
再び聞こえてきた鼻を啜る音に、その場にいた同期たちは顔を合わせて微笑みあった。
そして一人ずつ、彼女の頭を優しく撫でる。
「こちらこそ、戻ってきてくれてありがとう」
「またテトリスでもしましょうか。まぁ勝つのは私ですが」
「パタちも嬉しいぞ!たくさん遊んで、たくさん話そう」
「むしろ有言実行したお前の努力に感謝してるよ、こっちは。ありがとな」
『……うん』
「さて、縁も竹縄ですがそろそろ締めましょうか。早くしないと終電が無くなってしまいます」
「本当だ!片付けもしないと!」
「ふふ、まだ余裕はあるから大丈夫だよ。大丈夫だよね?」
「平気よ平気。ほら、ミズキも締めの挨拶するぞ」
『…ん』
「それでは皆さん!また次の配信でお会いしましょう、本日お送りしたのはレオス・ヴィンセントと」
「オリバー・エバンスと」
「レイン・パターソンと!」
「ローレン・イロアスと」
『ミズキでした!』
「「「「『じゃあね!』」」」」
・
「切れた?」
「切れてますよ」
「片付けしようか」
『お腹いっぱい』
「それなら何よりだわ」
各々が皿を片付け、ごみを集め、一つにまとめていく。スタッフに挨拶をして、事務所裏にあるごみステーションにごみを置く。その場の雰囲気が解散に向かって行くのを感じた。
「んじゃ、俺ミズキのこと送ってくから」
「任せたよローレン」
「漢を決めるんだぞ!」
「やけ酒なら付き合うよ〜」
「うるせー!」
『…?それじゃ、またね』
別れを告げて、ミズキとローレンは歩みを進める。ミズキは休止中に引っ越しをし、事務所に近いオートロックマンションに住居を移していた。タクシーに乗ればあっという間に着き、気付けばマンションの入り口まで来ていた。
以前の電車での移動も好きだったので、少し物足りなさを感じる。
「ミズキ」
『ん?』
「あのときの、やり直しがしたい。いいか?」
やり直し、と聞いて思い当たるのは一つしかなかった。嫌悪感を感じない理由を、既に知っている。
『うん』
「……好きだ、ミズキのことが。俺で良ければ、付き合ってほしい。恋人として」
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作者名:ヨッシー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/zyoui1/
作成日時:2023年11月3日 23時