自由謳歌系ライバー【lrn】 (ページ41)

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その後「返事は今しなくていい。でも本気だから」と告げてローレンはホテルを出ていった。思いを唐突に伝えられたミズキは愛犬に縋りながら頭の整理をしていた。

『可哀想な場面を見て同情した？いやローレンはそういうので揺らがないはず…冗談でも言うような男じゃないし』

ミズキは告白そのものを否定している訳ではない。不思議なことが一つあったのだ。

『私のどこを、好きになったんだろう』

本名を隠していた、家まで送ると言ってくれる男を毎回拒否する、熱を出したときはその態度はより顕著だった。たまたまデビュー時期が近くて、一緒に遊ぶことが多かったから？それとも周りが囃し立てるから、勘違いしたとか？

『そうかもしれない。うん…寝よっかぺろ』
「ﾜﾌｯ」
『明日もローレンは来る。皆にバレないようにしないと』

「おっすミズキ。良く寝れたか？」
「ミズキくん！色々あったようですが無事で何より！」
『ありがとうレオス、うん皆のお陰で何とかね……ろ、ローレンもちゃんと寝た？』
「ん？おう俺はいつも通りだけど」
『そ、そっか』

駄目だった。目の前に自分を好いている男がいるという経験が初めてで、どう対応すべきか分からない。しかもその彼は嘘を見破るのが上手いので、変に嘘をつくのは良くない。詰んでいる。

「まぁ皆来たことですし、座りましょうか」
「何で君が仕切るのレオスくん」
「良いじゃないですかぁ！ここは年長者らしい振る舞いを…」

いつも通りの皆に安心してる。よし、バレてない、はず、と思っているミズキを横からガン見しているローレンに気づいていない時点で彼女の負けなのだが。

「さて、ミズキくん。話は昨日オリバーくんから電話で聞きました。で、私として確認したいことはその缶詰の中身と君の意思です。話せますか？」

本当にこういうときは年長者らしい振る舞いをするのが、この科学者だ。先程のおふざけモードはなくなり、真っ直ぐ私の目を見て話をしてくれている。急かしている訳ではない、優しく触れてくれている。

そっと、目の前に置かれている缶詰に手を伸ばす。指先が少し震えていて、蓋を開けるのにもたついた。隣にいたローレンが「代わりに開けるか？」って言ってくれたけど、自分で開けたくて断った。これは、私の意思だから。
重々しい蓋を開けて、中身を見せる。見せたかったのは手紙ではなく写真。

「俺か」
『これが、皆のコラボを減らしてた…理由。黙っててごめんなさい』

大切だから、黙ってた。