裏 ページ30
事務所での仕事終え、ミズキは自宅へと駆け足で帰っていた。
(最近視線、感じるようになった。この感覚は多分…)
自宅があるマンションに付き、ポストを確認する。すると、1年ぶりに見た薄ピンクの封筒を見つけた。それを見ただけでミズキの背中には悪寒が走り、手先が震える。
どうにかしてそれを取り出し、後ろを振り返らずにエレベーターに乗り込む。
早く家についてほしいと願い、自分の体を抱きしめながら目的にまでひたすら耐えた。
少々雑に家の鍵を開けて戸締りを行う。自分を迎えに来てくれた犬を撫で、少し肩の力が緩まった。
リビングに向かい、封筒を乱雑に開けると、入っていたのは手紙と、数枚の写真。
『…!』
写っていたのは、自分と自分の腰と肩を支えているローレンだった。2人で遊んでるとき、タクシーから降りるとき、2人で私の家に入ったとき。私が体調を崩して、ローレンに家の玄関まで送ってもらった日だ。喉がひゅっと音を出す、締め吊られたかのように、呼吸音がか細くなる。
震えた手で折り畳まれた手紙を開けば、何度も見たことがある母の字が視界いっぱいに広がった。
【Aへ。何度探偵を雇い、貴女に手紙を送ればいいのでしょう。勝手に引っ越した貴女を探している間に、変な仕事に就いているし、イラストレーターなんて将来の何の役に立たない仕事もして、挙句の果てには男を家に連れ込むだなんて。そんな娘に育てた覚えはありません。今すぐ私のところに帰ってきなさい。何度も引っ越しをする貯蓄があるのなら、私に養育費を返しなさい。】
【貴女はまだ20歳。今からでも大学に入って医者を目指すことができる。貴女は賢い子よ、だって私の娘なんだから。私は貴女の為に言ってるのよ。お父さんのような医者になりなさい。そうすれば貴女の人生は欠点がない完璧なものになるわ。貴女を失敗させたくないの、貴女のためなの。わかってちょうだいね。電話にはちゃんと出なさい。昔から言ってるでしょう】
手紙はそこで終わっていた。
だからローレンを家まで招きたくなかった。母は昔から探偵を雇って自宅を特定してくるし、どうやってか知らないが携帯番号まで漏洩してる。携帯番号を変えるのだって、今回で5回目だ。
ぺしゃりと床に座る。膝を抱えて涙を流す。
その様子を見た愛犬が私に寄り添ってくる。柔らかくて暖かい家族を抱きしめて私は本音を零す。
『自由に生きたいだけなのにね』
この後にローレンとコラボするの苦しいよ。
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ヨッシー(プロフ) - 529zinbeizameさん» ありがとうございます!頑張ります! (9月20日 20時) (レス) id: 0cce0d85d6 (このIDを非表示/違反報告)
529zinbeizame(プロフ) - 作品の感じとっても好きです!更新されるの楽しみに待ってます📣📣 (9月20日 16時) (レス) id: c26de05c7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨッシー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/zyoui1/
作成日時:2023年9月18日 18時