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《16》 ページ17

《蛍》


「キミ、なんて名前?」


「…は?」


意味わかんねぇ。なんだこいつ。


龍が運ばれていってすぐ、俺はチビにそう話しかけられた。


「僕は…名前が無い。だから、教えられない。」


でも、キミは?


「誰…あんた。」


この頃の俺は、まだ日本語をきちんと話せなかった。


「俺はひかる。ひかるって名前してる。」


俺がそう言うと、そいつはなんでだろうか、笑った。


「へぇ。確かにそんな感じだね。
ひかる…でもキミ、ひかるより蛍って名前の方が似合うよ。
黄色い靴も履いてるから。」


鯱は初めから、よくわかんねぇやつだった。


でも、蛍って光るよね。なんて言って、俺のことを蛍って呼ぶようになった。


「僕は、名前ないから。だから、蛍が作ってよ。」


俺と同い年くらいのくせに、なんか偉そう。


最初は嫌っていたけれど、そいつは俺を路地裏に連れて行って一緒に暮らそうと言ってくれた。


感情がないくせに、その時は少し泣いた気もする。


それから、俺はそいつのことをしゃち、と呼ぶようになった。


理由はただ1つ、すばしっこかったから。


ある時、鯱は言った。


「僕ね、ほんとは侑李っていうの。
でも、この名前はもう捨てたんだ。
僕は、親がいないから。
だからね、蛍と出会うまでの記憶は捨てることにしたの。
名前も服も、全部。」


なんてやつだ、と思った。


俺はまだ、父さんたちのことを覚えていたから。


でも、もうそんなのいい。


これからは鯱と生きてくんだ。


それから、鯱は俺に1本の刀を差し出した。


「僕が、拾ったの。
この前、ヤクザみたいな怖い人たちから奪ったんだよ。
3本あるけど…まぁ、1本ずつして、余ったのは飾ったりでもしよう。」


その日から、俺たちはその住処である路地裏で、日本刀を独学で練習し始めた。


そんなことが続いたある日…。


オレンジの目をしたやつが、俺たちの路地裏にやってきた。

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あいす。(プロフ) - 猫田慧也さん» そんなそんな!ありがとうございます!!褒めていただけるような作品じゃないです〜…!ですね、池田には何としても復讐したいですね…!更新頑張ります!コメントありがとうございました^^* (2018年3月26日 20時) (レス) id: b9cecfea1a (このIDを非表示/違反報告)
猫田慧也(プロフ) - コメ失礼致します!池田大雅、ムカつきますね。蝉、豹、蠍、以外のみんなは、池田に復讐したい。それぞれの話を聞いて、蝉たちが協力する…なんて良い話なんですか!!!応援してます♪ (2018年3月26日 16時) (レス) id: 68ea1b8acf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あいす。 | 作成日時:2017年12月24日 22時

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