遠い夏の日5 ページ10
慧side
朝から、なんとなくだるかった。
なんで…それは、思い当たることがなくて。
俺は、極力病院のお世話にはなりたくないタイプ。
だから、見栄を張る訳でもないけどナースコールとかせずに、今日は寝てようと思ったんだ。
でも…。
たったったっ、
こっちに向かって走ってくる足音が聞こえて、咄嗟に本を読むふり。
すると、案の定入ってきたのは光で。
この時、素直にきついって言えばよかったのに、俺はいつだって光の前では強がってしまう。
光となんとなく会話をしていると、ノートを差し出してくれて。
ここで移さないと、怪しむ…よね？
そう思った俺は、必死でノートを移したけど。
体は俺よりもずっと、素直だった。
急に襲ってきた目眩に耐えきれなくなって、ベッドにもたれこむ。
光「お疲れ…理解できた??
ここの単元、結構難しかったでしょ」
慧「ん、まぁそこそこー」
目の上に手を当てて、目眩を堪えようとした。
…しんどい…。
光「ん、慧？」
慧「…んぇ？」
光「手…外してごらん？」
慧「え…なんで…？」
さすがに、もう隠すことも出来ない…そんなの分かりきってるのに、俺はこういう時だけ、すごく頑固だ。
光のごつごつして冷たい手が、俺のおでこに触れる。
…気持ちいい…。
光「…熱あるね、慧」
慧「ないってば…」
もう無理だ、隠すことなんて。
光「…頭痛いんでしょ？」
慧「ん…ちょっと」
光「辛いでしょ？あとは？」
慧「めまい…する…」
正直に言ってしまうと、心も体も少しだけ、軽くなった気がして。
光が病室を出ていく音が聞こえて、俺は目をつぶった。
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とびっこ - すごく泣けました！とても優しいお話ですね。健康って凄いことなんだなと思いました！ありがとうございました!! (2019年3月15日 15時) (
レス) id: bc899b6d8f (このIDを非表示/違反報告)
はにーもやし - 本当に泣けるいい話でした！これからも生きようと決心しました (2019年2月28日 17時) (レス) id: 1ee02ce53e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あいす。 | 作成日時：2018年1月12日 18時
