任務を請け負って ページ14
新たに伝えられたのは、これまたブラック本丸へ向かえという指示だった。
どいつもこいつも懲りないな。と頭の片隅で考えながら、肩にいるAの言葉を聞く。
『これで何件目だろうね？』
鶴丸「さぁな。もう数えるのも飽きた。」
『まぁ、また審神者を殺しておしまいだろうね。
君がヘマをしない事を祈ってるよ。』
鶴丸「言われなくても、そう簡単にやられたりなんかしないさ。」
『だったら、結構。』
そうこうしている内に、目的地である本丸に辿り着いた。
門に目立った汚れは無く、寧ろブラック本丸にしては珍しく綺麗に整備されていた。
だが……。
鶴丸「見せ掛けか？」
『だろうね。ほら、綻びがあるよ。』
人になったAは、門の側に屈んでその一角に躊躇いも無く触れた。
すると、バチッ！という音と共にAの腕に黒い靄のようなものが纏わり付くように伸びる。
『……へぇ。』
鶴丸「何か分かったか？」
『あぁ、大体はね。』
再び鴉の姿に戻ったAは俺の肩に停まると、羽を二、三回はためかせてから口を開いた。
『この結界、張られてから結構時間が経ってるみたいだね。
綻びがあったのは、術者が結界の力を維持する為の術をしなかったから。』
鶴丸「なら、審神者はもういないという事か？」
『さぁ、流石にそこまでは分からないな。
入ってみれば分かるんじゃない？』
鶴丸「はぁ……仕方無い。」
俺は本体を構え、門に向かって思いきり刀を振り降ろした。
すると、結界は簡単に破壊されて禍々しいオーラを放つボロボロの門が現れた。
鶴丸「どうやったらここまで酷くなるんだろうな。」
『そりゃ邪な人間がいるからだよ。
そんな人間、さっさと殺せば良いのに。』
鶴丸「……」
こいつに聞くのは間違いだったかもな。
ひとまず中に入って、状況を確認した方が良いだろう。
俺は刀を鞘に収めて、本丸内へ足を踏み入れた。
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