ONE PIECE ～銀の狼は夢を見る～ (ページ48)

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41話　ﾋﾞｽ「強い奴」ページ48

貴「えっと、ビスタさんお手柔らかにお願いしますよ？」

ﾋﾞｽ「・・・なるべくそうしよう。」

貴「フェイ！？」

俺は、まだコイツを信じていない。
特にあの事件が有った後だからな。
コイツはいきなり来たかと思ったら、オヤジと仲良くなり、末っ子と楽しくしていて、マルコまで取り入れちまった。
マルコが、何故あんな奴と仲良くするのか解らなかった。
人より整った顔、良い音の声、誰にでも敬語、俺は、それが嘘臭かった。
まるで、作ったかのような。
でも、それでいて仲良くなれる。
それが、俺は嫌いだ。
少し、妬んでしまう物だろ？
自分より劣ってる物が無いと言う物は。

そして、アイツが海軍大将だと聞いて、俺はアレを全部演技だと思った。

敬語も、笑顔も、全て。

だから、俺はこの戦いで、化けの皮を剥がしてやるんだ。

・・・それより、フェイ！？って何だ？
驚いたんだが。

貴「ビスタさん？大丈夫ですか？」

ﾋﾞｽ「！大丈夫だ」

驚いた、考えていたらアイツの顔が目の前に有った・・・
気配を感じ無かった。

ﾋﾞｽ「・・・行くぞ！」

貴「はい！」

ダッ！
俺は走り出した。
勿論、二つの剣を抜いてな。

貴「鶴姫・・・“mirage”」(蜃気楼)

アイツは目の前に居る。

───ザシュッ

いや、居たはずだった・・・
斬った感触が無い。

貴「僕からも、いきますよっ！」

ﾋﾞｽ「！！」

俺の真後ろから声が聞こえた。
何時の間に！

貴「“一線”」

俺は、反応出来なかった。
戦いの場だと言うのに、見とれてしまっていたんだ。

横に振られる刀と共に、桜が見えた気がした。

反射的に俺は、目を閉じる。

・・・いくら待てど、予想した痛みは来なかった。
目を開けると

貴「コレは、僕の勝ちですか？」

恥ずかしそうな笑顔で、俺の首筋に刀を置いていたAと目が合った。

そんな事言われたら、こう応えるしか無いだろ？

ﾋﾞｽ「嗚呼」

その言葉と、共に降ろされる刀、周りは鍛錬の手を止め此方に見入っていた。
俺も見入っていたが、この場に居る全員の目を奪ったのは、初めてだ。

貴「ビスタさん、ありがとうございました」

ﾋﾞｽ「！いや、此方こそ良い鍛錬に成った」

アイツ・・・Aは、少し恥ずかしそうにしながらお礼を言って来た。

俺は、最初に考えていた事が、とても恥ずかしく思えた。

そして、Aの一言でこの場が騒ぐのは又、後の話。