薔薇を紅く染める理由 (ページ29)

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未練ページ29

「A！Aは、僕が消えても大丈夫だよ！」

「…大丈夫じゃないよ…」

「誰に聞いたの？」

「Mｒ.ダルメシアって犬」

「あ、あぁ親友か、」

「なんで親友なの」

「色々あったんだよ」

「なんで」

「最近質問攻めが多いなぁー。」

ジャックは、溜息をつき、話し出した。

「僕らは、自分のマスターに変えられたのさ、人間にね？ダルメシアは犬から人に、僕はトランプから人間に、あとは、カラスや蛸やら腐った毒林檎とか、炎にフックにオウムにハイエナに鐘。前までは色々仕事を皆でこなしてたよ？でもね、残りの時間を感じた僕らは、離れて、自由に暮らしているんだ。その仲間の中で、親友だったのが、ダルメシアってことさ。」

逃げてきたなんて嘘。とジャックは呟いた。

あの気まぐれなジャックが、仲間と行動してたのは驚いた。

終わりの時間が迫ってきているのを自覚して、仲間と離れているなんて…

「自覚して、離れてるの？」

「あぁ、皆で人間みたいに後悔を言い合うなんてごめんだよ。」

「ジャック達らしいね、」

「でしょ？」

「でもマスターって何？」

「僕達のご主人様。ヴィランズの王たちだ。」

「ヴィラン？悪？ジャック達は悪者なの？」

「僕達は、その、物語の盛り上げ役。[悪者]だよ。」

「でもジャックも、ダルメシアさんも、いい人だよ！」

「ハッ！僕達が？いい人？笑わせないでよ！」

「え？」

「僕は、君を、騙して、悲しませた。それは立派なヴィランじゃないかな？」

「そうだね。でも、ジャックはそれ以外に楽しませてくれたことの方が多いよ！」

「僕は消えるんだぞ？そんな事を言われたら未練が出来てしまうじゃないか！」

「じゃあこれからは、その未練が消えるほど楽しめばいいじゃん！私は決めた！これからの2年間。死ぬほど、絶対に忘れられないほどジャックと楽しんで、忘れるのわでさえ言えないようにしてやる！」

「A…よし、Aでさえ言ったんだ。のった！」

「でさえって何よ！」

これからは、私が忘れることのない思い出を作る！

未練を消すために！

彼がヴィランだなんて関係ない。

彼は、私の中での王子様だから。