薔薇を紅く染める理由

デートの後の話 ジャック編 ページ18

自室にて


今日は、過去にないぐらい楽しかった。

それと同時に切なくなった。

…

僕の体は短い命。あと3年もすればこの体はきれいさっぱり消えてしまう。

彼女の記憶からも消えてしまう。

僕という存在は無くなる。


彼女は、綺麗だった。僕のためかは知らないが、しっかりとしたお洒落をしてきて、もうすぐ消えてしまう僕の為。なんて哀れなんだろう…

いつかは、彼女と会うのがもっと早ければ、

他の女はもういらない。僕にはAだけでいい。

そう思うようになっていた。

僕はヴィランなんだ。気をしっかり持て。

愛はけがらわしい！愛は哀れだ！愛は…！

愛は、苦しい。

どうして彼女を愛してしまったんだ…僕は愛してはいけない。辛くなるのは自分なんだ！

不安と屈辱と後悔をたっぷり込めて歌った。


「白い薔薇を…紅く塗ろうよ…」


僕は男なんだ。泣くな。僕はエンターテイナーなんだ。

そう、涙に笑顔を上書きする。いつまでも。



一瞬。頬のハートマークがふやけた気がした。

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