fin ページ27
SH side
・
『ジュンミョン』
"ジュンミョン"
SH「…どうして、その名を…」
その名前を知ってるのは父と母だけ。
なのに、どうしてAが…
『どうか、幸せになって…また会えてよかった』
そう言われた瞬間、脳裏に浮かんだ
知らない景色。
「スホ様、もう始まります」
SH「え、あ…」
目の前にいたのは美しい人魚。
『スホ様、早く行ってください』
僕の事をジュンミョンと呼んでいた、
優しく柔らかに笑って
その顔はA。
そうか、そうだったんだ。
僕の好きな人はAだ。
Aだったんだ。
SH「…やっと、見つけたのに」
僕はもうこの運命を変えられない。
・
「…」
SH「…はあ」
僕は好きでもない女性と結ばれた。
幸せそうに眠る彼女。
どうして、Aの事忘れていたんだろう。
会いたい、会いたい。
その思いで部屋を抜け出した。
『…スホ様？』
SH「A…！」
船の上で行われた結婚式。
バルコニーから海を見ていたA。
『どうして、ここに…？』
SH「思い出したんだ、あの時会った人魚」
そう言うと寂しそうに笑ったA。
『そっか』
A、ごめん。
僕は人魚姫の伝説を知ってる。
SH「僕をこのナイフで刺してくれ」
そしてナイフをAの前に置く。
君のためだったら耐えられる
僕を君にあげるから
どうか水の泡にならないで。
『私にそんな事出来ない』
そう言って笑ったAに触れようとしたのに
僕の手はすり抜けた。
SH「…っ」
『幸せになって』
涙より燦爛と煌めくこの瞬間。
その言葉を残してAは消えてしまった。
SH「A、A…」
ごめん。ごめん。
出会ってはいけなかった。
僕じゃない他の男なら君を幸せにできた。
日差しが溶け落ちる
君に似ている眩しさが舞い降りる。
道に迷った僕は今さら涙が止まらない。
僕の愛が君を守るから
SH「愛してる」
君の愛と引き換えにしたこの傷
すべて燃やしてしまおう。
僕の愛が記憶になるから
朝の海は冷たく僕を包み込む。
水の泡になるべきなのは僕だよ。
・
EXO『Baby Don't Cry』
fin.
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作者名：enen♪ | 作成日時：2016年5月29日 19時
