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『どうして囲まれてたの?』
SH「ん?…ああ。さっきのことか」
海岸。
ジュンミョンは砂浜に私は海で。
SH「僕はこの国の王子なんだ。…けど、力がなくて国民に責められて…って、かっこ悪い」
切なく俯くジュンミョンに胸が痛くなる。
『そんな事ないよ』
SH「はは、ありがとう」
『嘘じゃないよ』
そう言うとジュンミョンは薄っすら涙を浮かべた。
SH「Aは優しいなあ…」
きっとこの人には抱えきれないほどの痛みが
涙を堪えるしかない傷が
たくさんあるんだ。
SH「人魚って綺麗だよね」
『え?』
SH「Aはすごく綺麗」
優しい微笑みが私の胸を強く握る。
大きく音を立てる胸の意味を知ってはいけない。
「スホ様ーー!!」
SH「迎えが来る…」
『スホ様?』
SH「僕の偽名だよ」
岩陰に隠れる私にはジュンミョンしか見えない。
他の人間に見つかる前に帰らなきゃ。
『じゃあ、私は帰るね』
SH「…また、会える?」
切ない目、また会える自信なんてないのに頷いてしまった。
笑った顔が見たくて。
・
『お願い、私を人間にして』
海の魔女にそう頼んだ。
もう一度、ジュンミョンに会いたい。
「人間になる方法はあるさ」
『…なんでもするから』
「伝説を知らないのかい」
声と引き換えに人間になった人魚姫。
『私の声をあげる』
そう言うと笑い出した魔女
「私はそんなものいらないよ。そうだねえ…ならお前の愛する人間の記憶を貰おうか」
『どういうこと…?』
「向こうがお前との記憶を無くすのさ」
薬を調合しだす魔女。
「忘れられる痛みを味わいな」
人魚が人間になりたいと望むのはそれほど厳しいことなのか。
ジュンミョンは私のことを忘れてしまう。
『それでもいいわ』
本当は出会ってはいけなかったんだから。
「…ただし、愛する人と結婚出来なければ泡になって消えるからね」
『わかってる』
消えてもいい。
ジュンミョンに会えるなら。
「消えたくなければ相手を殺すんだよ」
そう言って魔女は私に薬を渡した。
・
そして2年経った今、人魚の私を忘れたジュンミョンの元で私は働いている。
SH「懐かしいね、ここで初めてAと出会った」
『そうですね』
風が頰に当たって気持ちいい。
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作者名:enen♪ | 作成日時:2016年5月29日 19時