love song (ページ21)

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「Aちゃんを守らなくては」

「うちの息子を使ってくれ」

次の日になると村中に狼男の話が出回った。
不安になったお母さんがたくさんの人に話したみたいで私達は村長の家に呼ばれた。

『大丈夫ですよ』

怖いけど他の人に頼るのは申し訳ない。

KI「姉ちゃんは俺が守るから」

ジョンイナはいつも私の話になると相手を睨む。
シスコン気味なんだよね。

「ジョンインくんもそろそろ姉離れしなさい」

「いつまでもお姉さんがお嫁にいけないじゃないか」

なんて村の人たちからは言われる。

『私はまだお嫁に行く気はありませんから』

「Aちゃんは村一番の美人なのに」

『そんな事ないですよ』

話が変わってきてる気がする…

「とりあえずこの件は見逃すことが出来ん」

村長が話し出してみんな黙る。

「次の満月に狼男を捕まえる」

そう村長が言って話は終わった。

・

KI「姉ちゃん」

『ん？』

KI「狼男が捕まるまでひとりで行動するなよ」

『ふふ、心配してるの？』

帰り道、ふとそんな事をジョンイナに言われた。

KI「当たり前だろ」

『…ありがとう』

だけど今日の私は昨日の事は夢だったんじゃないかなんて思ってた。

怖くて仕方なかった。
だけど、チャニョルは綺麗だった。

だから、だと思う。

・

月日が経つのは早いもので

『…綺麗な満月』

今日は満月。

KI「呑気な事言うなよ」

今日は村の人達総出で狼男を捕まえる。

『…まだ怒ってるの？』

KI「当たり前だろ」

ジョンイナが怒ってるのはこの"狼男捕獲作戦"の内容に対して。

この作戦は囮を使って狼男をおびき寄せ、村人が一斉に狼男に襲いかかる。

そして、その囮は私。

『でも誰かがやるしかないの』

KI「…分かってる」

狼男の顔を知るのは私だけ。
だから、私から名乗り出た。

きっとジョンイナは怒ると思うけど私はまだ胸に引っかかってる言葉がある。

"「俺はAを食べないから」"

嘘かもしれない。
だけど、本当だったら？

あの醜い野獣に襲われる恐怖。
だけどあの醜い野獣をもう一度この目で見たい。