love song (ページ16)

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時が経つのは早いもので。

『海だよ！』

CH「すごい、これが海…」

海を見るのは初めてじゃないけど
冬に海を見に来たのは初めて。

それも、大好きなジョンデと…

『綺麗でしょ？』

CH「綺麗だね」

誰もいない寒い砂浜に腰掛けて海を見た。

『私、ジョンデに出会えてよかった』

そんな景色は人を感傷的にさせるから

CH「どうしたの、急に」

ジョンデにはこの意味が分からなくても
それでもいい。

ジョンデが壊れてしまうくらいなら私はこの気持ちを隠し通すよ、離れてもいいの。

『んーん。なんでもない』

私が笑うとジョンデも笑った。

CH「…寒い」

『え？』

ジョンデはロボットだから寒くないはずなのに
私を後ろから優しく抱きしめてくる。

『ジョンデ暖かいよ？』

CH「…Aを抱きしめたかっただけだよ」

もし、ジョンデが人間だったら。

人間だったなら私たちは想い合ってた？
こうして恋人みたいに抱きしめて…

『…っ』

違う。

ジョンデが人間だったら私たちは出会ってない。
ロボットだから、ジョンデが人間じゃないから…

CH「泣いてるの？」

だから出会えたのに。

『…っごめ』

私はジョンデを否定してるみたい。

ジョンデはジョンデなのに。
そばにいれたらそれでいいのに。

CH「俺が人間だったらAを幸せに出来たかな」

『え…』

ポツリとそう呟いたジョンデ。

CH「…Aの事が好き」

『…ジョンデ？』

その好きはどういう好きなの？
思わず振り返ってジョンデを見るとまた寂しそうに笑っていて

CH「きっと覚えてはいけない感情だったんだ」

そう言った。

『…』

何も言えない私を見て困り眉をもっと八の字に曲げたジョンデ。

そして、優しくキスをした。

CH「ごめん」

『…どうして、謝るの』

教えてしまったのは私なのに。

CH「壊れてもいい、離れたくない」

きっとここで抱きしめてしまったら二度と離れられなくなる。

『私は…』

ジョンデが好き。
そう言ってもいい世界なら良かったのに。

『…私たちは一緒になれないの』

だけど、ジョンデを強く突き放せないのは私が弱いからだね。

CH「うん。わかってるよ」

そう言った瞬間。
ジョンデは倒れ込んだ。