love song (ページ15)

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『雪強くなってきたね』

暖かい部屋から見る外は冬景色。
この前まで夏だったのに…

CH「俺は夏より冬が好きかな」

『私は夏の方が好き』

冬って寂しくなる。

『だけど…』

きっといつか来るあなたとの別れの季節が未来の私にとって一番嫌いになるよ。

CH「ん？」

『冬も好きだよ』

ジョンデと過ごせるならどの季節も好きだよ。

「やあ。A」

『あ、博士』

丸い瓶底眼鏡をかけてボサボサの頭で博士が私たちのもとににかけよってくる。

『試作品1号も元気そうだな』

博士たちはジョンデのことを試作品とか1号と呼ぶ。
名前で呼ばないのは情が生まれてしまうのを恐れているから。

それくらいジョンデは人間のようだから。

CH「博士もお元気でなによりです」

「はは、そうだな。ところでA、ひとつ提案があるんだが…1号と出かけてみないか」

『ジョンデと出かけていいの？』

「ああ。ここ最近は小さな問題も発生していないしそろそろ社会勉強でもさせて来てほしい」

『わかった！』

CH「出かけれるの？」

『そうだよ！どこ行こう？』

博士は実験のことしか考えていないんだろう。
だからデータを取ったりすると思う…

だけど、私にとっては好きな人とのデート。

CH「これを見てみたい」

ジョンデが指差したのは壁に飾ってあった絵。

『海？』

CH「うん。地球の半分以上を占める海を見てみたいんだ」

冬の海は寒いだろうなあ…

『じゃあ海に行こう』

だけど私もジョンデと海を見てみたい。

「水に入るなよ」

防水機能はあるけど機械だから念のため。
冬に入ったりしないけどね。

『いつ？』

「あー。明後日にしてくれ」

CH「記録しておきます」

『いいよ、記録しなくても私が覚えてる』

本当に楽しみ。

「もう性格に少し人間らしさが出るといんだがな」

そう呟いた博士は何かを考えながら部屋を出て行った。

CH「俺、人間じゃないからね」

そう独り言のように呟いたジョンデが私を見て少し寂しそうに笑った。

『そうだね』

ごめんね、その寂しそうな笑顔に気づかないふりをする私を許してね。