雇い主 ページ46
面接はあれから2日後になった。
時間の10分前に到着して部屋をキョロキョロしている小柄な金髪の彼である。
「あー、あー、別に気楽にしようよ。あんまり畏まられるとこちらもなんだか恥ずかしいし」
「は、はい...」
「ちょっと早いけど、面接？始めましょう。宜しくお願いします」
「新垣 嘉人と言います。宜しくお願いします」
緊張しているけど、真面目なんだろう。お辞儀もきっちりしているし良さそうな子である。
そして、なによりも気になったのは彼の服装である。
エスニックチックなサルエルパンツに麻素材のシャツ。一風変わったファッションだが、これは彼の嗜好が現れており、私はそれがとても気に入った。
話を聞くと、数年前にインドへ行ったときに手に入れたらしい。
「インドのDilli Haat素敵よね！私、大好き！」
「本当ですか！？嬉しいなぁ！僕も好きな場所なんです！」
伝統工芸である、ペーパーマッシュやアラバスターなど好きなものも意気投合。気付けば、お互いの携帯の写真フォルダを紹介しあったり、私も商品棚から取り出してきて紹介したり。面接なんてことすっかり忘れていた。
「す、すみません！初対面でしかも面接なのに、こんなに語ってしまって。」
「No problem.私も喋ってたし」
「楽しかったです！」
「なら、良かった」
畏った面接なんて全く得意じゃない私には良かったのかもしれない。彼の趣味やセンスが伝わってくるこの面接が。
「来月から働きにおいでよ。そんなに奮発したお給料は出せないけども、新垣君の学校の都合に合わせて働けるようにはしてあげるよ」
「い、いいんですか？！？！ありがとうございます！！」
お辞儀が45度。なんて真面目な子なんだろう。
うんうん、若者は元気で勢いがあっていいねぇなんて若者層ではどちらかというと年長組になりつつある私は思ってみる。
「よろしくー、バイトくーん」
「こちらこそ宜しくお願いします！」
彼は私の出したアールグレイを飲み干して、インディゴ様のサルエルパンツを揺らしながら帰っていった。
彼の後ろ姿を見送った後、冷蔵庫の扉を開けてみる。
今回の面接、当たりだったなぁ。
気分が良くて沖縄土産で友人から貰った泡盛を開けて喉を鳴らした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 305人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
zx2to5(プロフ) - >>林檎さん 嬉しいです！ありがとうございます(^-^)のんびりですが亀更新していきますのでまた読んでくださると嬉しいです！ (2020年8月19日 22時) (
レス) id: 6bc55a23b1 (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - この面白い話を一番最初から何回見たことか！楽しんで見させていただきました！ (2020年8月8日 1時) (レス) id: 618a98841b (このIDを非表示/違反報告)
zx2to5(プロフ) - ありがとうございます！またアフターストーリーを書こうかと思っていますのし、他ルートも作っていくのでそちらもできればよろしくお願いします( ^ω^ ) (2020年4月14日 11時) (レス) id: 6bc55a23b1 (このIDを非表示/違反報告)
rio - 完結おめでとうございます！楽しませてもらいました！ (2020年4月14日 0時) (レス) id: fc34d02cb0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：モスモス | 作成日時：2020年4月9日 8時
