発揮 ページ10
Aちゃんは、何でもキッチリとしてくる。
今回だってそうだ。締切が決まった記事を一気に期限までに余裕を持って提出してきている。Aちゃんのこういうときってのは『自分の仕事が忙しいとき』だ。
現に向かいの席には編集データを読み込むのを待ちながらずっと観葉植物のカタログやら、飛行機便一覧をスマホで開いている。忙しいんだろう。
多分、この前のバーでの仕事依頼だろう。
「おーい、眉間にシワ寄ってるぞー!」
「煩い。考え事してた」
「コンビニ行くけど、何かいるものある?」
「エスプレッソ」
「この時間からエスプレッソ飲むの?」
「まだやること山程ありましてね」
「んー・・・わかったけど、まじで無理すんなよ」
「Tak」
他のメンバーにも欲しいものをきいて、コンビニへ。
結構量が増えたので山本もついてきてくれた。
「どうしたの?」
「別に俺が口出しすることじゃないし、Aちゃんも大人だから体調管理はできると思うけど、無理してそうな気がしてさ」
「うーん、どうだろ?なかなか彼女は弱味をみせませんからねぇ」
「謎が多いよなぁ」
「ミステリアスな美女だよね」
「美女って!?山本!?」
しれっと言うものだから驚いた。確かに、Aちゃんは美人の類に入るし、スタイルも抜群だ。でも、まさか山本の口から出るなんて思わなかった。
「え?だってさ、みんな言ってたよ?この前、最寄駅で出会ってオフィスまで一緒にきたんだけどそれ見てた友達から『紹介して』とか『あんな美人はじめてみた』とか。美人の否定はしないけど、なんせ癖があるんだよねぇ」
山本はそんなことを言いながらコンビニに入店してカゴをとり、頼まれた商品を次々といれていく。
「須貝さん、何買う?」
とか言うけど、俺なんて買いたいもの考えてたの忘れてしまって適当に目についたものをカゴにいれた。でも、ちゃんと頼まれたエスプレッソは忘れなかった。
こっちのメーカーじゃなくてこのカップの方だよな、とそこまで覚えてる。
エスプレッソにはチョコレートは合うよなぁとレジ横のチョコレートをカゴに放り込む。
「Aちゃんに?」
「あ、あいつ頑張ってるからさ!」
「ほーう」
「何?」
「なーんでも」
変な勘付きは苦手だなぁ。。
114人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:モスモス | 作成日時:2020年4月13日 0時